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ビルの外壁塗装の費用・必要性や注意点まで徹底解説

ビルの外壁塗装は単なる外観の維持に留まらず、建物の構造的な保護と資産価値の向上に直結する重要なメンテナンスです。

この記事では、外壁塗装の必要性、適切なタイミング、おすすめの季節、さらにはコストを抑える方法まで、ビルオーナーが知っておくべき全てを網羅的に解説します。

ビルの長期的な価値を守るための外壁塗装の知識を深め、賢い管理計画を立てましょう。

ビルの外壁塗装が必要な5つの理由 

ビルの外壁塗装が必要なのは、単なる美観の問題だけではありません。実は、ビルの価値を維持し、長期的なコスト削減にもつながる重要なメンテナンスです。

ここでは、外壁塗装を行う5つの主要な理由について解説します。これらの理由を理解することで、ビルの管理やメンテナンスの計画において、より効果的な判断ができるようになるでしょう。

 

①外観の維持

ビルの外壁塗装は、美観を保つために欠かせません。商業ビルやオフィスビルでは、外観が第一印象を決定づける要素となり、それが直接的にビルの評価に影響します。

美しい外壁は、ビルの魅力を高め、入居希望者や訪問者に良い印象を与えてくれるでしょう。

しかし、時間とともに外壁は塗膜の劣化や色あせが生じ、見た目の質が低下してしまいます。適切な塗料の選択と定期的な施工により、ビルの外観を長期にわたって保護し、常に新鮮で活気のある外観を維持することが可能です。

 

②耐久性を持続

建物の耐久性を維持するためにも、外壁塗装は欠かせません。外壁塗装を定期的に行うことで、建物を雨水や紫外線から保護し、構造材の劣化を防ぎます。

鉄筋コンクリート造のビルでは、外壁の塗膜が剥がれると、雨水が浸入し鉄筋の腐食を進めてしまいます。これが放置されると、ビル全体の強度が低下し、大規模な修繕が必要になる可能性が高いです。

外壁塗装を通じて塗膜を新しくすることで、これらのリスクを効果的に減少させ、ビルの寿命を延ばせます。したがって、定期的な外壁塗装は、単なる美観の向上だけでなく、長期的な建物保護の観点からも重要であると言えるでしょう。

 

③資産価値の増加

ビルが築年数を重ねると自然と外観は老朽化し、色あせや劣化が進むため、見た目が悪くなりがちです。

しかし、適切なタイミングでの外壁塗装を行うことで、ビルは新築時のような美観を保てます。

これが、資産価値を保ち、時には向上させることに直結します。とくに、賃貸物件の場合、外観の美しさは入居希望者の決定要因の1つになるため、外壁の状態は直接的に入居率に影響を及ぼすと言えるでしょう。

また、外壁塗装によって、構造的なダメージや雨漏りのリスクを低減することも可能です。これにより、長期的に見て建物のメンテナンスコストの削減にもつながります。

 

④賃料の維持

外壁が美しく保たれていると、ビル全体の魅力が高まり、結果として賃料を維持または増加させることが可能です。定期的な外壁塗装は、ビルの新しさを保ち、高いレベルの家賃設定を支えるために不可欠です。

同じ地域の類似ビルと比較しても、見た目がきれいなビルの方が高い賃料で貸し出すことができる傾向にあります。

さらに、外壁塗装によって小さなひび割れや損傷も修正されるため、将来的な大規模な修繕の必要性を遅らせることができ、これが経費削減にもつながります。

賃料の下落を避けるためにも、ビルの外壁を定期的にメンテナンスし、美観と機能を維持することが賢明です。

 

⑤空室のリスクを防止

外観の魅力は、入居希望者の最初の判断基準の1つであり、美しく維持された外壁はポジティブな第一印象を与えます。

これは、賃貸マンションやオフィスビルにおいて、競争が激しい市場での差別化要因となるでしょう。

定期的な外壁塗装により、ビルは新しいものと見間違えられるほどの魅力を保つことができ、これが直接的に空室率の低減につながります。

 

また、外壁が適切にメンテナンスされていることは、潜在的な入居者にビルの管理が行き届いているとの信頼感を与え、長期的に賃貸契約を維持する動機となるでしょう。

ビルの外観を綺麗に保つことで、空室のリスクを減らし、持続可能な収益を確保することが可能です。

 

ビルの外壁塗装をするべきタイミングはこんな時 

外壁の状態はビルの全体的な健康を反映しており、適切な時期に塗装を行うことで、大きな損傷や修繕コストの増加を防げます。

主なタイミングとして、①塗膜の劣化が見られた場合、②汚れが目立ち始めた場合、③塗装の耐用年数が終わりに近づいた場合、④ビルの外観を新しくしたい場合が挙げられます。

これらのサインに早めに対応することで、ビルを常に最良の状態に保つことが可能です。それでは、具体的なタイミングを詳しく見ていきましょう。

 

塗膜が劣化の兆候を示してきた

ビルの外壁塗装を検討すべき明確なサインとして、塗膜の劣化が挙げられます。時間の経過とともに、外壁の塗膜は日光の紫外線、雨水、汚染物質などの外的要因に晒され続けることで、徐々にその性能が低下します。劣化の初期兆候を見逃すことなく対応することで、ビルの保護と長寿命化を図ることが可能です。

ここでは、塗膜劣化の代表的な症状を具体的に見ていきましょう。

 

色あせ

色あせは、ビルの外壁塗装における一般的な問題です。これは主に紫外線や雨風の長期間の影響により発生し、外壁の塗料が次第にその色彩を失っていく現象を指します。

日差しが強い地域では、塗料の色素が分解されやすく、色あせが現れやすいです。色が薄くなることで、建物全体の見た目が老朽化して見えるだけでなく、塗料本来の防水や防腐効果も低下してしまいます。したがって、色あせを発見した際には迅速な対応が求められます。

 

剥がれ

剥がれは、ビルの外壁塗装の重要な劣化サインです。この症状は塗膜が基材から離れ、はがれ落ちることを指し、主に塗装の経年劣化や施工不良が原因です。

塗装が剥がれると、外壁の下地が直接風雨にさらされるため、水の浸入を許しやすくなり、さらなる損傷やカビの発生につながります。これを防ぐため、剥がれた箇所は早期に修復し、必要に応じて全面的な再塗装を検討することが重要です。

また、剥がれが施工不良によるものであれば、施工保証を利用して修理を依頼できます。このように、剥がれは見過ごすことのできないサインであり、適切なメンテナンスが不可欠です。

 

膨れ

膨れとは、塗膜が内部から圧力を受け、表面が不均一に盛り上がる現象のことです。この症状は主に、水分が塗膜の下に侵入し、そこで閉じ込められてしまった結果生じます。雨水が浸入しやすい細かな亀裂がある場合、内部の湿気が暖かい日に蒸発しようとするとき、塗膜を押し上げてしまうことがあるので注意が必要です。

これが膨れの主な原因ですが、施工時の手順が適切でなかった場合にも起こり得ます。見つけ次第、専門の業者に速やかに対応を依頼することが肝心です。膨れを放置すると、剥がれが進行し、さらに深刻な損傷につながる可能性があります。

 

チョーキング

これは塗膜が紫外線の影響を受け、表面が粉状になる現象のことです。日差しが強い面で発生しやすく、指で触ると白い粉が手に付着するのが特徴です。チョーキングが進行すると、塗膜の防水性能が低下し、雨水の浸透により建物内部にダメージを与えるリスクが高まります。このため、初期の段階で適切な診断と対応を行うことが重要です。

もしチョーキングの兆候を見つけた場合は、早急に専門業者に依頼し、建物の保護と長期的なメンテナンスを図るべきです。このように、塗装の状態を定期的にチェックし、必要に応じて専門家の意見を求めることは、ビル管理の基本と言えるでしょう。

 

クラック

ビルの外壁塗装において「クラック」とは、塗膜や壁に生じる細かなひび割れのことです。この症状は、建物の自然な伸縮に塗膜が適応できずに発生することが多く、温度変化が激しい環境では見られやすいです。

クラックが存在すると、そこから雨水が浸入し、内部の構造材への損傷やカビの発生を招く可能性があります。したがって、クラックの発見次第、早急な修理が推奨されます。修理を行う際は、専門の業者による適切な診断が必要であり、場合によっては塗装だけでなく、壁自体の補強が必要になることもあるでしょう。ビルを守るためにも、定期的な点検とメンテナンスを怠らないことが重要です。

 

塗装面の汚れが目立ってきた

塗装面の汚れが目立ってくると外壁塗装のタイミングです。日常の汚れの蓄積は避けられない現象であり、コケやカビ、ホコリ、チリ、さらには排ガスなどが主な原因です。

これらの汚れが長期にわたって蓄積されると、外壁の表面だけでなく内部にも悪影響を及ぼすことがあります。汚れが定着し、通常の掃除方法では除去が困難になった場合は、専門的な処置が必要です。

 

この段階で業者に相談し、高圧洗浄を行うことで、ほとんどの汚れを落とすことが可能ですが、汚れが外壁の劣化を促進している場合は、塗り替えが最適な対策となるでしょう。

定期的な清掃と専門業者による評価を通じて、ビルの美観と機能を長期にわたり保持することが重要です。

 

塗装の耐用年数の期限が迫ってきた

ビルの外壁塗装は、一般的に10〜15年の周期で再塗装が推奨されます。この期間は、塗料の種類や気候条件、建物の立地によって異なる場合がありますが、耐用年数が近づくにつれて塗膜の劣化が進行し、機能性が低下します。耐用年数が満了に近づいた外壁は、色褪せやひび割れが目立ち始め、防水性や断熱性の低下が見られることもあるでしょう。

これらの症状を放置すると、建物の構造自体にも悪影響を与える可能性が高まるため、定期的な点検とタイムリーな塗り替えが必須です。塗装の耐用年数が近づいたことを認識したら、早めに専門の業者に相談し、適切なメンテナンス計画を立てることが賢明です。

 

関連記事:外壁の防水塗装は必要?DIY可否も解説

 

外観を変えたくなった

外観のイメージチェンジも外壁塗装を検討するタイミングと言えるでしょう。時代に合わせてビルの外観を変更することは、不動産の魅力を高め、競争力を維持するために重要です。

古い色彩やデザインが現代の建築スタイルと異なる場合、新しい色や質感に塗り替えることで、ビル全体の印象を一新し、賃貸市場での価値が高まる可能性があります。

塗装でイメージを変えることは、資産価値の向上はもちろん、入居者や訪問者に新鮮な印象を与える効果も期待できます。このような変更を行う際は、目的やターゲットに合わせて色選びや質感の選定を慎重に行うことが大切です。

 

ビルの外壁塗装におすすめな季節は?

ビルの外壁塗装を行うのに最も適した季節は春と秋です。これらの季節は、気温が適度で湿度も比較的安定しており、塗料の乾燥に最適な条件を提供します。

春は新たな年度の始まりとともに、気候も穏やかであり、外壁塗装に最適な日が多いため、作業が順調に進みやすいです。

一方、秋には涼しく乾燥した日が続き、塗料が均一に乾燥するために必要な環境が整います。

夏は高温多湿で雨が多く、冬は寒さと湿度の高さが塗料の適切な乾燥を妨げるため、これらの季節は避けることが望ましいです。したがって、塗装計画を立てる際は、気温が安定しており、雨が少ない春か秋を選ぶほうが良いでしょう。

 

関連記事:外壁塗装を行う時期はいつ?季節別の利点欠点を解説

ビルを外壁塗装する際の費用相場

ビルの外壁塗装の費用は、建物の大きさや使用する塗料の種類、地域の気候条件などにより大きく異なりますが、一般的には300〜1,000万円程度が相場です。大規模なビルや複雑な形状をしている場合、さらに高額になることもあるでしょう。選択する塗料の品質によっても費用は変動しますが、耐久性や保護機能が高い塗料を選ぶことで、長期的にメンテナンスコストを削減することが可能です。投資としての初期コストは高くなるかもしれませんが、その後の塗り替えの頻度を減らすことにより、結果的にコストパフォーマンスは向上します。

 

塗料ごとの相場

ビルの外壁塗装に使用される塗料は多種多様で、アクリル系から光触媒系まで、塗料の種類によって耐候性や機能性が異なり、それに伴い価格も変動します。耐久性や特定の機能を求める場合は、それに見合った価格の塗料を選ぶようにしましょう。ここでは、一般的な塗料の種類と相場について解説します。

 

アクリル系塗料

アクリル系塗料は、コストパフォーマンスの高さで知られている塗料です。経済的な選択を重視するビルの所有者に適しており、初期費用を抑えつつも、外壁に鮮やかな色彩と適度な保護を提供します。

価格は1平方メートルあたり約1,900〜3,000円と比較的手頃であり、短期間での見た目の改善を求める場合に有効です。

しかし、耐久年数が他の高性能塗料に比べて短いため、5〜7年ごとの再塗装が必要になる点は計画に含める必要があります。この塗料は、外壁の美観を一時的に向上させる場合や、頻繁な色の変更を求める商業施設に最適です。

 

ウレタン系塗料

ウレタン系塗料は、優れた弾力性と防水性で知られており、ビルの外壁に適用する場合、長期間にわたり保護層を提供します。この塗料は、動きやすい構造部分や、微細なひび割れが生じやすい箇所に使用することで、柔軟性が最大限に活かされます。価格面では、1平方メートルあたり約2,100〜3,100円とされ、耐用年数は大体8〜10年です。

しかし、耐熱性の低さが欠点であり、直射日光が当たり続ける場所には向いていません。このため、塗料の選択時にはビルの立地や気候条件を考慮することが重要です。

 

シリコン系塗料

シリコン系塗料は、優れた耐候性と耐久性で広く利用されています。

この塗料は、ビルの外壁における耐水性と耐熱性を強化するために設計されており、厳しい気候条件下での性能維持に効果的です。

価格は1平方メートルあたり約2,700〜4,000円で、耐用年数は10〜15年とされています。

シリコン系塗料は、汚れが付きにくく、維持管理の手間を軽減させるため、コストパフォーマンスに優れた選択肢として多くのビルオーナーに選ばれています。ただし、適切な下地処理が必要であり、施工の際には専門の技術が求められるため、確かな技術を持つ業者に依頼することが重要です。

 

ラジカル系塗料

ラジカル系塗料は最新技術を活用した塗料で、紫外線や化学物質による塗膜の劣化を防ぐ機能を持つ塗料です。この塗料の主なメリットは、長期間にわたる耐久性で、平均して14〜16年の間、塗り替えの必要がありません。費用は1平方メートルあたり約3,000〜4,300円とやや高価ですが、長寿命を考えれば投資価値は高いと言えるでしょう。

ただし、色の選択肢に限りがあり、主に明るい色調のみの提供となるため、デザインの自由度に制約がある点に注意しましょう。

 

フッ素系塗料

フッ素系塗料は、優れた性能で知られている塗料です。外壁の塗装に使用されることが多く、耐用年数は約15〜20年と長持ちします。1平方メートルあたりの価格は約3,700〜4,700円とされています。

この塗料の大きなメリットは、優れた耐水性、耐熱性、防水性、そして防カビ性です。

さらに、汚れが付きにくく、雨水で洗い流されやすいため、日常のメンテナンスが楽になるでしょう。高い初期投資は必要ですが、耐久性とメンテナンスの容易さを考えれば、長期的なコストパフォーマンスは高いと評価できます。

 

無機系塗料

無機系塗料は、耐久性と環境に優しい特性を兼ね備えている塗料です。この塗料の主要成分はセラミックやケイ素などの無機物で、これにより紫外線や化学的な侵食に対して強い耐性を持っています。平均的な耐用年数は20〜25年であり、長期間にわたる耐久性から高層ビルや露出が多い建物の外壁塗装に最適です。

また、無機系塗料はカビやコケの発生を抑制し、耐火性も高いため安全性が求められる場所にも適しています。しかし、価格はやや高く、特別な施工技術を要するため、初期コストと維持管理に注意が必要です。

 

光触媒系塗料

光触媒系塗料は、太陽光を活用して自浄作用を促進する先進の塗料です。主成分である酸化チタンが、日光に反応して汚れを分解し、雨水で簡単に洗い流すことができます。この塗料の使用は、ビルの外壁を長期間にわたって清潔に保つための効果的な方法であり、都市部や交通量の多い地域での使用に適しています。

耐用年数は約10〜15年とされており、初期投資は高いものの、メンテナンスの手間とコストを大幅に削減できる点が大きなメリットです。しかし、太陽光が不十分な場所では効果が薄れるため、使用する建物の立地を考慮する必要があります。

 

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費用を抑えるために押さえる2つのポイント 

ビルの外塗塗装は、長期にわたるメンテナンスコストを抑える効果も期待できますが、初期の投資費用は決して安くはありません。ここでは、工事費用を抑えるために知っておくべき2つの重要なポイントを見ていきましょう。

 

火災保険が適用されるか確認

ビルの外壁塗装を検討する際、火災保険が適用されるかどうかを確認しておきましょう。火災保険は一般的に火災だけでなく、台風や大雨などの自然災害による被害も補償対象としています。

たとえば、台風や強風で飛来物が外壁に衝突し、修理が必要となる場合には、火災保険を利用できることがあります。

ただし、経年劣化や施工不良による損傷は対象外です。外壁の修理が必要な原因が自然災害によるものであるかを確認し、適用可能かどうかを保険会社に問い合わせてみましょう。

詳細な条件や手続きについては、保険証券や保険会社の窓口で確認してください。

 

助成金を受け取ることが可能か確認

ビルの外壁塗装工事には、多くの自治体で助成金制度が設けられています。これらの助成金は、主に工事費の一部をカバーするため、不動産オーナーにとって大きな支援となること間違いないでしょう。

助成金の対象となるのは、環境保護やエネルギー効率の向上、地域の美観の維持などの目的に沿った工事です。

たとえば、断熱性の向上やヒートアイランド現象の緩和を目的とした塗装工事には助成金が出る場合があります。

助成金を利用することで、工事費用の負担を大幅に軽減できるため、事前に各自治体の助成金制度を調査し、申請の要件や手続き方法を確認しておきましょう。

 

参照:国土交通省 都市局都市計画課 |ヒートアイランド現象緩和に向けた都市づくりガイドライン 

関連記事:マンションの外壁塗装で受け取れる助成金や条件も紹介

ビル外壁塗装の工事期間

ビルの外壁塗装工事の期間は、一般的には最低でも2ヶ月程度は見積もる必要があります。この期間はビルの規模や構造、塗装の種類、天候条件、さらには作業が行われる地域の環境によって延長されることがあるので注意しましょう。

高層ビルや複数の棟が連なる大規模な施設の場合、工程を細分化し、段階的に作業を進める必要があるため、3ヶ月以上かかることも珍しくありません。

効率良く作業を進めるためには、事前に施工業者と詳細なスケジュールを確認し、可能な限り現地調査を行い、正確な見積もりを取得することが重要です。これにより、計画的かつスムーズに工事を進めることが可能となり、予期せぬ遅延を避けられます。

 

関連記事:マンションの外壁塗装工事の期間や工事中の注意点とは?

ビルの外壁塗装仕上げまでの工程 

ビルの外壁塗装は、建物を保護し、美観を維持するために不可欠な作業です。この作業は複数の段階に分かれており、各工程は次の作業の成功に直接影響を与えます。正しい手順で丁寧に行うことが、塗装の質と持続性を保証します。

ここでは、ビルの外壁塗装の一般的な流れを見ていきましょう。

 

足場設置

ビルの外壁塗装を行う際には、安全かつ効率的な作業を実現するため、適切な足場の設置が不可欠です。作業の安全性を高めると同時に、塗装作業の質を向上させるため、各種の足場が活用されます。高層ビルや広範囲にわたる塗装作業では、作業者の動きをサポートする足場の設計が欠かせません。こうした足場設置は、塗装の均一性を保ち、作業効率を向上させるためにも必要不可欠です。

 

足場付きとは

「足場付き」とは、ビル全体または必要な部分に安定した足場を組み立て、そこで塗装作業を行う方法です。

この方法の最大のメリットは、作業者が安心して塗装作業に専念できる環境が整っていることでしょう。足場を使用することで、作業者は必要な塗装材料や道具を携帯でき、また、安全に動くことができます。

さらに、塗装作業中に発生する塗料の飛散やホコリを防ぐため、足場の周囲には防護ネットを設置することが一般的です。足場の設置にはコストがかかるものの、作業の安全性と品質の向上を考えると、この投資は欠かせません。

 

無足場とは

「無足場」とは、高層ビルやアクセスが難しい箇所で利用される、足場を設置せずに作業を行う方法です。この方法では、ロープやゴンドラを使用して作業者がビルの高所にアクセスします。

無足場の主なメリットは、足場の設置に必要な時間やコストを節約できることにあります。短期間での作業が求められる場合や、足場を組むスペースがない狭い場所での作業に最適です。

しかし、作業の安全性には注意が必要であり、作業者の技術や経験が高く要求されるため、専門的な訓練を受けた職人が選ばれます。

 

高圧洗浄

外壁塗装の前段階として重要なのが高圧洗浄です。この工程では、ビルの外壁に付着した埃や汚れ、古い塗膜の残留物を効果的に除去します。高圧の水流を使用することで、塗装面を綺麗な状態に戻し、新しい塗料が適切に密着するための理想的な表面を作り出します。

また、この洗浄作業後には、塗装作業を始める前に適切な乾燥時間を設けることが不可欠です。

 

養生

外壁塗装作業の重要な前処理として、養生があります。この工程では、塗装箇所以外の部分にテープやシートを使って保護を施し、塗料の飛散を防ぎます。

養生は塗装作業の仕上がりを向上させ、不要な場所への塗料の付着を防ぐために必須です。ビルの場合、窓やドア、エアコンの外部機器など、慎重に養生する必要があります。

入居者やテナントへの影響を最小限に抑えるためにも、養生の完了後には、塗装開始前に周知を行い、理解を求めることが大切です。

 

下地処理

外壁塗装の成功は、丁寧な下地処理にかかっています。この工程では、壁のひび割れや穴、その他の表面の不具合を細かく修正し、塗料が均一に適用される滑らかな表面を作り出します。下地処理を適切に行うことで、塗膜の密着を強化し、塗装の耐久性を向上させることが可能です。

具体的には、外壁の汚れを取り除き、必要に応じてスパックルやパテを用いて表面を整え、最終的な塗装前の仕上げを行います。この段階を怠ると、塗装後の仕上がりにムラが生じたり、早期に塗膜が剥がれる原因となるため注意が必要です。

 

下塗り

下塗りは全体の仕上がりと耐久性を左右する重要な工程です。この段階では、塗料の接着力を強化し、均一な塗膜を形成するための基盤を作ります。下塗りの主な目的は、外壁材に塗料が均等に吸収されるのを防ぎ、上塗り塗料の密着を向上させることです。適切な下塗りを行うことで、塗膜の剥がれや色ムラのリスクを大幅に減少させられます。

さらに、下塗りは外壁の微細な欠陥をカバーし、滑らかで美しい仕上がりを実現します。

 

中塗り

中塗り工程は、塗膜の均一性と耐久性を確保するために不可欠です。この段階では、下塗りで形成された基盤の上にさらに塗料を重ねることで、表面の小さな不均一を埋め、塗膜を強化します。中塗りは外壁に追加の保護層を提供し、上塗りの塗料がより均等に施されるようにします。この工程を丁寧に行うことで、最終的な仕上がりのよさが高まり、塗膜の寿命が延びるため、長期にわたってビルの美観を保つことが可能です。中塗りは、耐候性や色持ちを向上させるためにも重要な役割を果たします。

 

上塗り

外壁塗装の最終段階である上塗りは、ビルの保護と美観を長期間維持するために重要です。この工程では、中塗りで整えられた表面にさらに塗料を施し、塗膜の厚みと耐久性を高めます。上塗りは、塗装された表面を天候や紫外線から守り、色あせや劣化を防ぐ役割を果たします。

 

ビルの外壁塗装を施工する際に知っておくべき注意点

ビルの外壁塗装は、単に建物の美観を保つだけでなく、構造体を保護し、長期的な資産価値を維持するためにも重要です。このような重要な作業を進めるにあたっては、以下の点に注意し、関係者間のトラブルを未然に防ぐことが求められます。

 

ビルの入居者に早めの告知をする

外壁塗装を行うにあたり、ビルの入居者には事前に作業の詳細と期間を明確に伝えることが不可欠です。塗装工事によって日常生活に影響が出る場合があるので、入居者が準備をするためにも、計画が固まり次第、速やかに通知するようにしましょう。騒音への対策など、生活に直接影響が出る点については詳しく説明を行うことが求められます。このような配慮が、工事期間中のトラブルを未然に防ぎ、入居者との良好な関係を維持する秘訣となるでしょう。

 

臭い対策を周知する

ビルの外壁塗装を行う際には、臭い対策を入居者に周知しておきましょう。大きなビルでは大量の塗料を使用するため、臭いが強くなりがちです。

塗料の臭いが衣服に付着したり、体調不良を引き起こしたりする可能性もあるため、工期や作業時間を事前に知らせ、マスクの着用や換気を促すなどの対策を徹底することが求められます。これにより、入居者の生活に与える影響を最小限に抑え、スムーズな工事進行が可能になるでしょう。

 

近隣へも塗装工事のお知らせをする

ビルの外壁塗装を行う際には、近隣の住民や企業にも事前に塗装工事のスケジュールを知らせることが重要です。

 

塗装工事中は騒音や臭いが発生するため、周囲の住環境に影響を与える可能性があります。とくに、騒音は日中の業務に支障をきたすことがあり、臭いに敏感な人には不快感を与えることが考えられます。工事の詳細や期間を知らせることで、近隣の人も計画的に対応策を講じることが可能です。

 

また、近隣住民の理解と協力を得ることで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな工事進行が期待できるでしょう。通知の方法としては、ポストにチラシを配布したり、掲示板に掲示するなど、複数の手段を用いると効果的です。

 

防犯対策をする

外壁塗装工事中には、足場が犯罪の温床になり得るため、特別な注意が必要です。普段は空き巣の心配が少ない高層階の窓も狙われやすくなってしまいます。

このため、ビルの管理者や入居者には、窓の施錠を徹底してもらうことになるでしょう。足場にはセキュリティゲートを設置し、不法侵入を防ぐ措置を講じることが望まれます。

さらに、工事期間中の安全を確保するため、適切な防犯カメラの設置も効果的です。これにより、入居者が安心して日常生活を送れる環境を保つことができるでしょう。

ビルの外壁塗装を失敗させないための5つのポイント

ビルの外壁塗装は大きな投資ですが、適切な準備と情報に基づく選択を行えば、その価値は計り知れません。失敗させないポイントは、質の高い施工を提供できる信頼できる業者を見極めることにあります。

ここでは、失敗を可能なかぎり減らして、期待どおりの結果を得るために押さえておくべき重要なポイントを見ていきましょう。

 

①相見積もりして業者を比較する

外壁塗装は長期的な保護と美観の向上を目指す重要な投資です。そのため、複数の業者から相見積もりを取得することが推奨されます。これにより、各業者の価格設定や提供サービスを比較し、コストパフォーマンスが最も高い選択肢を見極めることができるでしょう。

また、見積もりを通じて業者の対応の速さや詳細な説明を提供する姿勢も確認できるため、単に価格だけでなくサービスの質も判断基準にすることが重要です。適切な業者選びは、塗装工事の成功を左右するため、慎重に行いましょう。

 

関連記事:外壁塗装業者を選ぶ際のポイントとは?悪徳業者の特徴も紹介

 

②建物を丁寧に確認してくれる

建物の状態を丁寧にチェックする業者を選ぶことも不可欠です。信頼できる業者は、外壁の細部にわたる劣化の程度を正確に診断し、必要な修復や保護措置を適切に提案します。この徹底したチェックは、無駄なコストを避け、具体的な塗装計画の立案に不可欠です。

また、適切な評価を受けた建物は、塗装後の長期的な保護と美観の向上を期待できます。

 

③顧客のレビューをチェックする

ビルの外壁塗装を任せる業者選びでは、顧客のレビューを確認することが重要です。これにより、業者が提供するサービスの質や顧客対応、実際の施工の満足度を事前に把握できます。

問題が発生した際の対応やアフターケアの質もレビューを通じて評価することが可能です。信頼性の高いレビューは、業者が過去の顧客にどのような影響を与えたかを示す貴重な情報源となるでしょう。

また、訪問販売によるリフォーム工事や点検商法の被害に遭う可能性も減らせます。国民生活センターには、悪徳業者によるさまざまな被害の相談が寄せられています。

例えば、2021年度のデータによると、リフォーム工事に関する相談件数は約6,000件に上り、その中には不当な契約や施工不良などのトラブルが含まれています 。

 

このような被害に遭わないためにも、良心的な業者を選べるようにレビューは入念にチェックしておきましょう。

 

参照:国民生活センター|訪問販売によるリフォーム工事・点検商法(各種相談の件数や傾向)

 

④ビルの外壁塗装の実績が豊富か確認する

業者の施工実績が豊富かどうかも確認しましょう。実績が豊富な業者は、多様な建物に対応した経験があり、予期せぬ問題にも適切に対応できる能力を持っています。また、施工例を事前に確認することで、その業者の技術レベルと仕上がりの品質を把握する手がかりにもなるでしょう。信頼できる業者は、透明性を持ってこれまでのプロジェクトを公開していることが多く、その情報からサービスの信頼性を判断できます。

 

⑤施工後の保証が十分なものか確認する

施工後の保証は、ビル外壁塗装の品質とサービスを保証する重要な要素です。

優良な業者は、施工の質を裏付ける充実した保証期間と明確な保証内容を提供しています。この保証があることで、もし施工後に問題が発生した場合にも迅速かつ適切に対応してもらえます。

保証内容には、塗装の持続期間や使用材料の耐久性が含まれていることが多く、業者が自信を持って作業を行っている証拠とも言えるでしょう。保証期間の長さやカバー範囲を事前に確認することで、安心して塗装工事を依頼できます。

 

ビルの外壁塗装は信頼と実績のある専門業者に依頼しましょう

ビルの外壁塗装は、美観の維持だけでなく、建物の耐久性や資産価値を保つために重要な作業です。

適切な業者を選び、定期的なメンテナンスを行うことで、長期的なコスト削減とビルの価値向上が期待できます。

信頼と実績のある業者に依頼することで、高品質な施工と安心感を得ることができるでしょう。ビルの外壁塗装は、専門的な知識と技術を持つ業者に相談し、最適なプランを立てることが成功への第一歩です。

 

安心してビルの外壁塗装を任せたい場合は「カメダ総合塗装」へご相談ください。1960年創業で8,500件以上の施工実績があります。これまでの豊富なノウハウを活かして、お客様のご要望に応えさせていただきます。