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シリコン塗料による外壁塗装のメリット・デメリットを紹介

外壁塗装の塗料にはさまざまな種類がありますが、その中でも「シリコン塗料」は非常に人気の高い選択肢のひとつです。
耐久性やコストなどを総合的に考えたときにバランスがよいと言われており、初めての外壁塗装や塗り替えのタイミングで「シリコン塗料を検討している」という方も多いのではないでしょうか。
しかし、シリコン塗料といっても一種類ではなく、水性か溶剤型か、さらに1液なのか2液なのかといった違いがあります。
また、シリコン塗料特有のメリットやデメリットを知らずに選んでしまうと「こんなはずじゃなかった…」という後悔をする場合もあるかもしれません。

 

本記事では、シリコン塗料の基礎知識から、外壁塗装に使用するメリット・デメリット、そしてほかの塗料との違いやおすすめのシリコン塗料まで、幅広く解説します。
「外壁塗装 シリコン」をキーワードに情報収集されている方にとって、疑問や不安を解消する手助けとなる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください

 

シリコン塗料とは?

シリコン塗料とは、塗料の主成分の一部に「合成樹脂シリコン」を含む塗料のことです。
シリコンとは、ケイ素(シリカ)をベースとした化合物で、撥水性や耐候性、耐熱性などに優れている特徴があります。
塗料にこのシリコンを配合することで、建物の外壁に塗装した際の耐久力が高まり、汚れが付きにくいなどの機能性が期待できます。

 

また、シリコン塗料は、アクリル塗料やウレタン塗料などと比べて耐候性に優れていることから、近年の外壁塗装で非常にポピュラーになっている塗料です。
耐久年数は、一般的に10年前後が目安とされることが多いですが、製品の種類や塗装する建物の条件(気候条件や下地の状態など)によっても変わってきます。

 

実際に各塗料メーカーや施工会社が扱うシリコン塗料は数多く、グレードや特徴も異なります。

選ぶ際には、価格・耐久年数・機能性などを総合的に見比べながら検討することが大切です。

シリコン塗料で外壁塗装を行うメリット

ここからは、シリコン塗料を使って外壁塗装を行う主なメリットをご紹介します。
機能性・価格のバランスがよいということから、個人住宅やマンション・アパートなど、さまざまな建物で採用されています。
そのメリットを正確に把握しておくことで、自分の家の外壁に本当に適しているかどうか判断できるでしょう。

耐候性が高い

シリコン塗料の大きな強みのひとつに、耐候性の高さがあります。
「紫外線や風雨などによって、塗膜の劣化がどれくらい進むのか」を左右するのが耐候性ですが、シリコンは化学的に安定しているため、太陽光や雨風の影響を受けにくいといわれています。
これにより、他の塗料に比べて外壁をしっかりと保護し、より長持ちさせることが期待できます。

 

もちろん、気候条件が過酷な地域(台風の多いエリアや海沿いなど)であれば劣化は早まりやすいため、あくまで目安ではありますが、一般的な木造戸建て住宅の場合、10年程度の耐用年数を見込めるとされています。

耐熱性が高い

シリコン塗料は、ケイ素を含む分子構造の特性から耐熱性にも優れています。
真夏の炎天下では、外壁表面が高温になることがありますが、耐熱性が高いシリコン塗料であれば、そうした厳しい条件下でも塗膜がダメージを受けにくいといわれています。
また、耐熱性が高い塗料はひび割れや色あせなどのリスクを軽減し、長期にわたって美観を保ちやすいのが魅力です。

汚れがあまり付かない

シリコン塗料は、防汚性にも優れています。
外壁に付着したほこりや花粉などの汚れは、雨が降ったときに自然と洗い流される傾向があり、結果として外観をきれいに保ちやすい特徴があります。
特に、親水性コーティングや撥水性の高いタイプのシリコン塗料を選ぶことで、外壁に付いた汚れが雨水とともに流れやすくなり、セルフクリーニング効果を期待できる場合もあります。

コストパフォーマンスが高い

シリコン塗料は、アクリル塗料やウレタン塗料よりも価格はやや高めの傾向にありますが、耐久年数を考えると長い目で見てコストパフォーマンスがよいと言えます。
たとえば、耐久年数が5〜7年程度のウレタン塗料を使うよりも、10年程度もつシリコン塗料を使ったほうが、メンテナンスの回数が減る分、トータルコストを抑えられるケースが多いです。

 

また、フッ素塗料や無機塗料などさらに上位グレードの塗料と比較すると、シリコン塗料は価格帯がリーズナブルで手を出しやすいという点でも人気です。
「見た目や耐久性にこだわりつつ、価格もなるべく抑えたい」という方には最適な選択肢と言えるでしょう。

種類が多い

シリコン塗料は多くのメーカーが開発・販売しています。
国内の大手塗料メーカーのほとんどがシリコン塗料を扱っているため、カラーバリエーションや機能性の選択肢が豊富です。
断熱・遮熱機能を付与したタイプや、防カビ・防藻機能が強化されたタイプなど、住環境や好みに合わせて最適なものを選びやすいのもメリットでしょう。

シリコン塗料で外壁塗装を行うデメリット

シリコン塗料にはメリットが多くある一方で、注意点やデメリットも存在します。
シリコン塗料を選ぶ際には、下記のような点を理解したうえで、住まいや予算、仕上がりのイメージなどに合致するかどうかをしっかり検討しましょう。

扱いが難しい

シリコン塗料の中には、溶剤を使用するタイプのものもあり、施工時に独特の溶剤臭が発生します。
また、塗膜形成のタイミングや希釈のバランスなど、施工上の技術が必要となる場合があり、経験が浅い施工業者が扱うとムラや剥がれの原因になることも。
1液型よりも2液型のほうがさらに施工難易度が高くなる傾向がありますので、信頼できる塗装会社を選ぶことが重要です。

ひび割れしやすい

シリコン塗料は、アクリル塗料やウレタン塗料に比べると柔軟性に劣る場合があります。
建物の動き(地震や振動、気温差による膨張・収縮など)に追従しきれないと、塗膜がひび割れを起こすリスクが高まるかもしれません。
ただし、近年はシリコン塗料でも改良が進んでおり、弾性を持たせたタイプも開発されています。
外壁の素材や劣化状況に応じて、弾性シリコン塗料や下地の補修方法を提案してくれる施工会社を選ぶと安心です。

重ね塗りには向いていない

シリコン塗料の塗膜は、非常に強固です。
そのため、上塗りをするときに旧塗膜をしっかりとケレン(表面を削って下地を調整する作業)しないと、密着不良を起こす可能性があります。
「前回もシリコン塗料を使ったから、今回も同じように施工すればいい」と安易に考えるのは危険で、下地処理を怠ると剥がれやすくなります。

 

特にDIYでの重ね塗りを検討している場合、シリコン塗膜の密着性や施工環境(気温・湿度・素地状況など)をよく把握していないと、後からトラブルにつながることが多いため注意が必要です。

 

また、施工環境や気候条件によっては、シリコン塗料の硬化に時間が掛かるなど、湿度や温度の影響を受けて仕上がりにムラが出ることもあります。
特に梅雨や冬季などの気候が厳しい時期に塗装を行う場合は、しっかりと施工スケジュールを組み、適切な乾燥時間や施工条件を守ることが重要です。
これらを怠ると、耐久性や美観に影響が出やすくなるため注意が必要です。

耐用年数がほかの塗料と比べて短い

「シリコン塗料は耐候性が高い」といわれる一方で、フッ素塗料や無機塗料などの高級グレードの塗料と比較すると、やはり耐用年数は短めです。
一般的にフッ素塗料で12〜15年程度、無機塗料で15〜20年程度の耐久性を謳っているケースがあるのに対し、シリコン塗料は10年程度が目安と言われることが多いです。
そのため、より長寿命の塗料を求める方には物足りなく感じる場合があります。

ほかの塗料とシリコン塗料の違い

シリコン塗料は、アクリルやウレタン、フッ素、無機塗料など、ほかの塗料との中間グレードに位置することが多いです。
以下の表では、代表的な外壁塗装用塗料について、耐用年数と価格帯の目安、主な特徴をまとめました。
あくまで一般的な目安ですが、塗料選びの参考になれば幸いです。

塗料の種類耐用年数 (目安)価格帯 (1平米あたり)主な特徴
アクリル約5〜7年1,500〜1,800円程度安価だが耐候性が低く、汚れが付きやすい
ウレタン約7〜10年1,800〜2,300円程度弾性が高く、施工しやすいが耐久年数はやや短い
シリコン約10年2,000〜2,800円程度耐候性・防汚性ともに良好で価格も手頃
フッ素約12〜15年3,000〜4,000円程度耐候性が高く、長期間きれいな外観を保ちやすい
無機約15〜20年4,000〜5,000円程度以上耐候性が非常に高く、汚れにも強いが高価格

 

シリコン塗料の分類

シリコン塗料とひとくちに言っても、水性か溶剤型か、さらに1液・2液かによって特徴が異なります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、施工場所や目的、施工業者の技術力などを考慮したうえで選ぶのがおすすめです。

水性1液型

水性の1液型シリコン塗料は、水で希釈するため、溶剤特有のニオイが少なく、環境や人にやさしいのが大きなメリットです。
また、扱いやすいことから施工コストを抑えられる場合もあります。
ただし、溶剤系と比べると密着力や耐候性でわずかに劣るケースもあるため、下地処理がしっかり行われているかどうかが重要になります。

溶剤液1液型

シリコン塗料に含まれる溶剤を使って塗装するタイプです。
水性と比べて耐候性や光沢保持性に優れていることが多く、塗膜が丈夫に仕上がる傾向があります。
しかし、施工時には溶剤臭が発生するため、周囲への配慮や換気が必要です。
1液型は2液型よりも硬化剤の混合などが不要な分、施工の手間が少なく、比較的扱いやすいという特徴もあります。

溶剤液2液型

溶剤系の2液型は、主剤と硬化剤を混ぜ合わせて使用します。
硬化剤を混合することで化学反応により塗膜が形成され、より高い耐候性や耐久性、光沢保持性を得られるケースが多いです。
一方で、硬化剤の混合比率や施工時間の管理が難しく、施工者の技術力や経験によって仕上がりが左右されやすい点も注意すべきポイントでしょう。
費用はやや高めになる傾向がありますが、長期にわたって美観を保ちたい場合には有効な選択肢です。

外壁塗装においてシリコン塗料が適している部分

住宅の外壁塗装は、メインとなる外壁だけでなく、付帯部分や屋根など複数の部位に分けて検討することが重要です。
ここではシリコン塗料がどのような部分に向いているのかを確認していきましょう。

外壁

シリコン塗料は、外壁塗装のメイン選択肢のひとつとして非常にオーソドックスです。
耐候性・防汚性・価格のバランスがよいので、戸建てだけでなく、マンション・アパートにも幅広く採用されています。
特に、5〜10年スパンで塗り替えを検討されている方にとっては、コストを抑えつつ見栄えも重視できる点がメリットと言えるでしょう。

外壁の付帯部分

雨樋や破風板、軒天といった付帯部分は、特に雨水や紫外線の影響を受けやすい場所です。
シリコン塗料なら、適度な耐候性と防汚性を確保しながら施工費を抑えられるため、付帯部分の塗り替えにも適しています。
ただし、材質(木部・金属部など)によっては下地処理や下塗り剤を選定する必要がありますので、施工会社にしっかり相談して選びましょう。

屋根

屋根にもシリコン塗料を使用するケースは多いです。
特に、化粧スレートや金属屋根など、耐候性が求められる場所に対しては、シリコン塗料の耐熱性や防汚性が効果的に働きます。
しかし、屋根塗装は外壁以上に施工環境(高所作業、日照条件など)が厳しく、材料選びにも慎重を要します。
屋根専用に設計されたシリコン塗料や遮熱タイプなど、多彩なラインナップがあるため、屋根用のシリコン塗料を選ぶ場合は専門家の意見を参考にするとよいでしょう。

外壁塗装におすすめのシリコン塗料

ここでは、代表的なシリコン塗料として知名度の高いものを4種類ご紹介します。
いずれも大手メーカーが扱っている製品のため、信頼性が高く、施工業者も扱いに慣れているケースが多いでしょう。
それぞれの特徴を簡単にチェックしてみてください。

サーモアイSi

サーモアイSiは、日本ペイントが手がける遮熱シリコン塗料として知られています。
特殊な赤外線透過技術を採用しており、太陽光による屋根の温度上昇を抑える効果が期待できます。
屋根用としても人気が高く、夏場の室内温度上昇を少しでも抑えたい方におすすめです。

  • 主な特徴:遮熱効果、防汚性、耐候性
  • 対応部位:屋根や外壁(特に屋根塗装で人気)

クリーンマイルドシリコン

クリーンマイルドシリコンは、エスケー化研が開発したシリコン塗料で、外壁塗装として採用されることが多い製品です。
高い防かび・防藻性や防汚性が特徴で、光沢のある仕上がりが魅力。
また、弾性タイプ(クリーンマイルドシリコン・エラスティック)も展開されており、外壁のひび割れを抑えたい場合にも選択肢のひとつになるでしょう。

  • 主な特徴:防かび・防藻、耐候性、光沢保持性、弾性タイプあり
  • 対応部位:外壁、付帯部分

ナノコンポジットW

ナノコンポジットWは、水谷ペイントが販売する、ナノテクノロジーを応用した水性シリコン塗料です。
親水性が高く、雨水で汚れが洗い流されるセルフクリーニング効果が期待できます。
環境に配慮した低VOC(揮発性有機化合物)設計であるため、施工時のニオイが少ない点も評価されています。

  • 主な特徴:セルフクリーニング、低VOC、水性、屋根にも使用可能なバリエーションあり
  • 対応部位:外壁、屋根

グラナートSP

グラナートSPは、関西ペイントのシリコン塗料で、高い防汚性と優れた光沢保持性が特徴です。
関西ペイントはさまざまなグレードの塗料を提供しており、その中でもグラナートシリーズは、耐候性と経済性のバランスがよい製品群として人気を集めています。
付帯部や屋根用など、幅広いラインナップがあるため、トータルコーディネートしやすいのもメリット。

  • 主な特徴:防汚性、光沢保持性、幅広いカラーバリエーション
  • 対応部位:外壁、付帯部分、屋根

シリコン塗料を上手に選び、長く快適な住まいを実現する

シリコン塗料は、耐候性や防汚性、コスト面などのバランスがよいことから、外壁塗装において根強い人気を誇る塗料です。
一方で、施工の難易度や耐用年数など、知っておかなければならないデメリットもいくつか存在します。
特に、溶剤系シリコン塗料の施工には専門的な知識・技術が求められるため、信頼できる施工会社に依頼することが大切です。
施工会社を選ぶ際には、以下のような点に注目してみるとよいでしょう。

  • シリコン塗料の取り扱い実績は豊富か
  • 1液タイプ・2液タイプなど、複数の塗料プランを提案してくれるか
  • 下地処理の重要性をきちんと説明してくれるか
  • 保証やアフターフォローは充実しているか

塗料選びでは、色や艶の仕上がりも大切な検討ポイントです。

 

シリコン塗料はカラーバリエーションが豊富なものが多い一方で、光沢感の度合いによっては汚れの目立ち方が変わるケースがあります。

 

また、濃い色ほど日射熱の影響を受けやすいことも考慮しましょう。
細かな色選びや質感については、サンプルや施工例を参考にしながらしっかりとイメージを固めることが、長期的な満足度を高めるポイントです。

 

また、国民生活センターでも、住宅リフォームに関するトラブル相談が多いことが指摘されています。
外壁塗装は決して安くない投資なので、複数社から見積もりを取り、施工内容や使う塗料の特徴をしっかりと比較・検討することが重要です。
地元で長年の実績を持ち、アフターサポートもしっかりと行っている施工会社なら、施工後のメンテナンスやトラブル対応なども相談しやすいでしょう。
株式会社カメダ総合塗装は、地域に根差して外壁塗装や屋根塗装などを行っております。
施工をして終わりではなく、施工後のメンテナンスやトラブル対応にも柔軟に対応いたします。

自分の家の外壁や屋根にどの塗料が最適なのかは、建物の構造や立地条件、予算、施工時期などによっても異なります。
シリコン塗料のメリット・デメリットをしっかり把握したうえで、ご自宅に合った最適なプランを見つけ、長く快適な住まいを実現してください。