無機塗料で外壁塗装を行うメリット・デメリットを解説
近年、外壁塗装において「無機塗料」が注目を集めています。
「耐久性が高い」「汚れにくい」などのうたい文句を耳にし、気になっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、無機塗料といっても具体的にどのような特徴があるのか、また、無機塗料を使うことでどのようなメリット・デメリットが生じるのかを正しく理解している方は意外と少ないかもしれません。
本記事では、外壁塗装における無機塗料の特徴や、有機塗料との違い、メリット・デメリット、ほかの塗料との比較、さらにおすすめの無機塗料について解説します。
「外壁塗装 無機塗料」でお調べの方にとって、疑問や不安を解消する一助となる内容なので、ぜひ最後までご覧ください。
外壁塗装で用いられる無機塗料とは?
無機塗料とは、塗料成分のうち、主成分として「ケイ酸塩」や「セラミック」などの無機物(鉱物由来成分)を含む塗料のことを指します。
一般的な外壁塗装で使用される塗料の多くは「有機塗料」であり、アクリルやウレタン、シリコン、フッ素などの樹脂がメインとなっています。
つまり、無機塗料と有機塗料の大きな違いは「塗料のベースとなる成分が、無機か有機か」という点です。
- 有機塗料(アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素など)
炭素を主成分とする樹脂でできており、塗膜が柔軟性を持ちやすい。
価格や耐久性、機能性の幅が広く、一般住宅から商業施設まで広範囲で利用される。 - 無機塗料(セラミック、ケイ酸塩などを含む)
石やガラスに近い性質を持ち、硬度が高く、紫外線や熱にも強い。
有機塗料に比べ、ひび割れリスクや施工上の難易度が高い面もある。
無機塗料の最大の特長は、耐候性や耐熱性、汚れにくさなどが優れている一方で、施工コストがやや高くなりがちという点です。
したがって、「長期間メンテナンスを極力減らしたい」「外壁の美観を長く保ちたい」という方に向いています。
無機塗料のメリット
無機塗料は、ほかの塗料にはないさまざまなメリットがあります。
ここでは代表的なポイントを4つ挙げて解説します。
耐候性が高い
無機塗料の最大の強みは、紫外線や雨風、熱などによる劣化に強い「耐候性の高さ」です。
無機物であるセラミックやケイ酸塩は、太陽光に含まれる紫外線に対して化学的に安定しており、塗膜が劣化しにくい傾向があります。
その結果、色あせや塗膜の剥がれが起こりにくく、塗料の耐久年数も長めです。
一般的な有機塗料の耐用年数は10〜15年程度とされていますが、無機塗料の場合、製品や施工環境にもよりますが15〜20年程度、あるいはそれ以上もつケースが報告されています。
「一度塗り替えたら、なるべく長くきれいな状態を保ちたい」という方にとって、大きなメリットと言えるでしょう。
耐火性が高い
無機物(石やセラミックなど)を含む無機塗料は、燃えにくい性質を持っていることが多いです。
外壁が高温の環境にさらされ、火災の被害を受けたときなど、有機塗料よりも塗膜が変質・変色しにくい利点があります。
もちろん「塗料だけで火災から建物を守れる」というわけではありませんが、より安全性を高めたい方にとっては、耐火性の高さは心強い特徴と言えます。
カビや苔が発生しにくい
無機塗料には、有機物(栄養分)が少ないため、カビや苔、藻など微生物が繁殖しにくいとされています。
日当たりが悪く、湿気の溜まりやすい場所でも、比較的きれいな状態を保ちやすいでしょう。
ただし、長期間にわたって汚れが堆積すると、その汚れ自体がカビや苔の温床になる場合もあります。
定期的に外壁を洗浄・点検することで、より効果的に美観を維持できます。
汚れに強い
無機塗料には、高い撥水性や親水性を持つ製品も多く、表面に付いた汚れが雨水などによって洗い流されやすいという利点があります。
また、外壁材の表面が硬質であるため、ほこりや油汚れ、排気ガスのすすなどが付着しにくいケースも見られます。
これにより、定期的な洗浄が少なくても外観の美しさを保ちやすく、メンテナンスコストを抑えることにもつながるでしょう。
無機塗料のデメリット
さまざまな優位性を持つ無機塗料ですが、デメリットもいくつか存在します。
導入前にしっかりと理解しておくことで、失敗や後悔を防ぎやすくなるでしょう。
ほかの塗料に比べて価格が高い
無機塗料は、材料コストが高いだけでなく、施工時に高度な技術が求められる場合もあります。
そのため、他の有機塗料と比較すると初期費用が高めになりがちです。
下記の表でも後述しますが、一般的にアクリル<ウレタン<シリコン<フッ素<無機の順で費用が上がるイメージを持ってよいでしょう。
「少しでも初期費用を抑えたい」という方には向きにくいかもしれません。
しかし、耐久年数が長い分、長期的に見ると塗り替えの回数が減り、トータルコストを抑えられる可能性もあります。
ひび割れが起こる可能性が高い
無機塗料は、塗膜が硬いという特性を持っています。
そのため、建物が揺れ基礎が動いて外壁に力が加わると、柔軟性のある有機塗料よりも亀裂が入りやすいリスクがあります。
特に、地震が多い地域や、木造の住宅で建物が微妙に動きやすいケースでは、塗膜のひび割れ(クラック)に注意が必要です。
近年は、無機成分に有機成分を混ぜて「有機無機ハイブリッド塗料」とし、柔軟性を高めた製品も登場しています。
ただし、製品によって無機の含有量や塗膜性能が異なりますので、施工会社とよく相談して選びましょう。
扱いが難しい
無機塗料を使用する施工では、塗膜形成に適した温度や湿度、希釈率などの管理が非常に重要となります。
また、無機物と有機物を混合している製品の場合、適切な攪拌や施工手順を守らないと仕上がりが悪くなったり、塗膜が剥がれやすくなったりします。
施工者の技術力や経験値が十分でないと、期待する性能を発揮できない恐れがあるため、業者選びがより重要になります。
無機塗料の施工実績が豊富な業者や、メーカー認定施工店を選ぶことで、失敗リスクを減らすことができるでしょう。
無機塗料とほかの塗料の違い
外壁塗装においては、無機塗料以外にもアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素など多種多様な塗料が選択肢として挙げられます。
ここでは、代表的な塗料について「費用相場」「耐用年数」「主な特徴」をまとめた表を掲載しますので、比較検討の参考にしてください。
塗料の種類 | 費用相場 (1m²あたり) | 耐用年数 (目安) | 主な特徴 |
アクリル | 1,000〜1,800円程度 | 約5〜7年 | 低価格だが耐久性は低め。短期間での塗り替えが必要 |
ウレタン | 1,500〜2,300円程度 | 約7〜10年 | 施工しやすく弾性が高い。価格・耐久性ともに中間層 |
シリコン | 2,000〜2,800円程度 | 約10〜15年 | 耐候性・防汚性などバランス良好。現在の主流 |
フッ素 | 2,000〜2,800円程度 | 約12〜20年 | 紫外線に強く塗膜寿命が長い。価格は高め |
無機 | 3,500〜5,000円程度以上 | 約15〜20年以上 | セラミックやケイ酸塩を含み、非常に耐候性が高い。価格も高額 |
※上記の金額・年数はあくまでも目安であり、メーカーや製品、施工条件などによって変わります。
無機塗料は、フッ素よりもさらに高価格帯になるケースが多いですが、そのぶん耐久性や耐候性の面では最上位クラスと言えます。
ただし、先述したようにひび割れのリスクや施工の難易度もあるため、メリットとデメリットをしっかり天秤にかけることが重要です。
おすすめの無機塗料
無機塗料と一口に言っても、メーカーや製品によって特徴や性能はさまざまです。
ここでは、代表的な無機塗料を5種類ご紹介します。
いずれも大手塗料メーカーが手掛ける製品であり、施工実績が豊富な業者も多いため、比較検討の一助にしてください。
アプラウドシェラスター
アプラウドシェラスターは、日本ペイントが開発した無機有機ハイブリッド塗料です。
無機成分と有機成分を組み合わせることで、耐候性や防汚性に優れ、外壁のひび割れを抑制するよう考慮されています。
また、仕上がりの光沢が美しく、褪色しにくいため、長期間にわたり鮮やかな外観を保つことが可能です。
パーフェクトセラミックトップG
パーフェクトセラミックトップGは、日本ペイントが手がけるパーフェクトシリーズの中でも高級グレードに分類される無機系塗料です。
高い耐候性と防汚性を両立させると同時に、光沢保持率も非常に優れています。
さらに、カビや藻の発生を抑制するバイオ技術が施されたラインナップもあり、施工店を通じて長期保証制度を利用できる場合があるのも大きな魅力です。
アレスシルクウォール
アレスシルクウォールは、関西ペイントが開発した外壁専用の無機系塗料で、シルクのように落ち着いたツヤ感のある仕上がりが特徴となっています。
セラミック成分によって耐候性と防かび・防藻性能を高めつつ、質感にもこだわっており、住宅街にもなじむ上品な外観を実現します。
無機塗料の中でもややソフトな質感を重視しているため、耐久性とデザイン性のバランスを求める方にとってもおすすめです。
アレスダイナミックMUKI
アレスダイナミックMUKIは、関西ペイントのダイナミックシリーズの一つとして開発された無機塗料です。
塗膜の硬度が高いうえに、優れた耐候性やツヤ保持力を備えているのが大きな特長となります。
さらに、豊富なカラーバリエーションから選べるだけでなく、無機塗料特有の硬さによるひび割れリスクを抑える技術も導入されているため、安心して採用できるでしょう。
エスケープレミアム無機
エスケープレミアム無機は、エスケー化研が提供する高級グレードの無機塗料です。
シリコンやフッ素よりもさらに高い耐候性を追求し、独自のセラミック複合技術によって防汚性と耐久性を両立させています。
国内大手メーカーとして施工実績が豊富なだけでなく、光沢保持力が高く、長期間にわたる美観を維持しやすい点も大きな魅力です。
外壁塗装に無機塗料を採用し、美観と耐久性を手に入れる
無機塗料は、セラミックやケイ酸塩などを含むことで耐候性や耐火性、汚れに強い特性を持ち、カビや苔が発生しにくいというメリットがあります。
一方で、ほかの塗料と比べて価格が高く、塗膜が硬いためひび割れが起こりやすいリスクもあるのが現実です。
また、施工難易度が高いため、経験豊富な業者に依頼しないと充分な性能が発揮できない場合もあるでしょう。
それでも、無機塗料は「長期的に美しい外壁を維持したい」「メンテナンス回数を抑えたい」というニーズには非常にマッチする塗料です。
高額ではあっても、耐用年数が長ければ塗り替え頻度を減らせるため、トータルコストでみたらお得になる可能性もあります。
おすすめ製品も複数あり、製品ごとに特長やカラー展開、艶感が異なるため、住宅のイメージや施工場所に合わせて選べます。
無機塗料の導入を検討する際は、まず施工実績の豊富な業者に相談し、見積もりや比較検討をじっくり行ってください。
また、無機塗料を用いた外壁塗装をご検討の方は、ぜひ株式会社カメダ総合塗装にご相談ください。