ビルの外壁に使われる素材の種類と決め方
ビルの新築や大規模修繕を検討するにあたって、外壁の種類にはどのようなものがあるのかがわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。外壁材によって特徴が異なるため、しっかりと把握しておかないと、適切にメンテナンスできなくなる場合があります。
本記事では、ビルの外壁に使われる素材の種類と決め方、適切な補修のタイミングを解説します。
外壁の定義と構造
外壁の基礎知識として、ここでは外壁の「定義」と「構造」について解説します。
外壁とは、建物の外部に面した壁のこと。外壁は常に雨風や日差しに晒される部分であるため、防水性や断熱性、さらには地震の多い日本では耐震性も求められます。外壁は建物を守り、人の安全に直結する重要な部分です。さらに、外壁の素材や色合いによって美観も大きく左右します。ビルのオーナー様は、個人や法人に貸して利益を得ることが目的のため、外壁の見た目にも気を配らなければなりません。
また、昔の外壁の構造は、下地に直接外壁材を張る「直張り」が主流でした。しかし現在は、下地と外壁材の間に通気層をつくる「通気工法」が幅広く採用されています。通気工法を用いることで、下地と外壁材の間に湿気が溜まりにくくなり、カビの発生も抑制されました。万が一外壁のひび割れから雨水が浸入しても、雨漏りにつながりにくくなっています。
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ビルの外壁の種類
ビル外壁の種類は主に5つです。それぞれ特性や耐用年数、劣化の進み具合などが異なるため、しっかり把握しておきましょう。
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ALCボード
ALCボードは、コンクリートを軽量気泡化した外壁材です。コンクリートに気泡を入れて、熱の伝わりを抑制します。熱が抑制されることで夏の暑さや冬の寒さに影響されにくくなり、室内の温度を一定に保てるのがメリットです。耐熱性や耐火性、耐久性に優れており、多くのビルに採用されています。ボード内部には鉄筋やスチール製の金網などがあるため、サイディングボードよりも高い強度を備えているのが特徴です。
ただし、小さな気泡が多くあるため、水に弱いという性質があります。外壁材同士の継ぎ目が多くなってしまうのもデメリットの一つです。10〜15年の周期で防水塗装を行い、水への耐性を付ける必要があります。
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金属系サイディングボード
金属系サイディングボードは、アルミやステンレス、ガルバリウム鋼板などの金属から作られる外壁材です。工場で製造され、現場で職人が外壁に張り付けて施工します。塗装の目安は、10〜15年です。
傷がつきやすく、サビが発生しやすいデメリットがありますが、他の外壁材と比べて軽量です。建物への負担が少ないことから、高層ビルにはよく用いられています。軽量かつ耐震性に優れているため、既存の外壁の上から張り付けることも少なくありません。張り替えが比較的容易なのもメリットの一つです。
モルタル壁
モルタル壁は、セメントと砂を水で混ぜて、専用のコテで塗り上げていく外壁材です。職人が現場で調合して塗るため、職人の腕によって仕上がりが変わるのが見所です。仕上げ方としては、次のような種類があります。
- スタッコ仕上げ:重厚感のある仕上がり
- 吹き付けタイル:艶のある仕上がり
- リシン仕上げ:表面がザラザラとした仕上がり
- 左官仕上げ:さまざまな模様に仕上がる
しかし、防水性能が低下すると色褪せやカビ、ひび割れが目立ちやすいのがデメリットです。塗装の目安は8〜10年と短いため、メンテナンスの頻度が多くなります。一昔前のビルではモルタル壁が主流でしたが、現在はほとんど選ばれていません。
ガラス張り
ガラス張りは、外壁材の代わりにガラスの壁を用いることを指します。コンクリートやタイル張りと比較すると、軽量でスタイリッシュな見た目に仕上がるのが魅力です。近年では、全面ガラス張りのオフィスビルも増えてきました。
ガラス張りのデメリットは、定期的にメンテナンスをしないと苔や水垢などが付着しやすい点です。ガラス張りをするなら、防汚性を高めるコーティング剤を施すのがおすすめです。汚れにくくなるとメンテナンス頻度も減るため、結果的にコストを抑えられます。
タイル張り
ガラス張りと同様に、タイル張りを採用するビルも増えてきています。タイル張りに使われる素材は、石器質・陶器質・磁器質の3種類です。耐候性に優れているため、他の外壁材と比べると塗装によるメンテナンスをあまり必要としません。そのため、メンテナンス費用を抑えられます。
タイル張りのなかでも、ビルによく使われているのは防火性が高くて経年劣化しにくい磁器質です。タイルは苔が付きやすい外壁材ではあるものの、機能性が高い製品であれば雨で汚れが落ちたり太陽光で汚れが分解されたりします。
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外壁の素材の決め方
これからビルを建てる場合や、張り替え工事や重ね張り工事を行う際は、新たに外壁素材の種類を決める必要があります。ビル外壁の素材を決めるときは、施工費用やデザイン性、メンテナンス頻度やコストなど、総合的に見るのが重要です。施工費用を抑えられるのはオーナー様にとって得になりますが、メンテナンス頻度が多いと必然的にコストがかかってきます。まずは予算に合う素材を選び、その中から機能性やデザイン性を比較して一つの外壁材を選ぶとよいでしょう。
予算ではなく機能性重視の場合は、高い耐久性や断熱性を備える外壁材がおすすめです。耐久性が高ければ部分的な補修のみで長持ちするため、メンテナンス費用を抑えられます。ビル内の空調にかかる電気代を節約するなら、断熱性の高い外壁材にすると効果が期待できます。
ビルの外壁補修のタイミング
ビルの外壁補修はいつ頃行えばよいのでしょうか。以下に、補修が必要となる劣化サインを挙げます。
- 外壁材の耐用年数がすぎた
- 色褪せや汚れが目立つ
- タイルの剥がれやひび割れが見られる
- 塗料が劣化している
ビルの外壁補修は、使用されている外壁材のメンテナンス時期に合わせて行います。種類ごとに耐用年数が異なるため、きちんと把握しておくことが重要です。早めに外壁補修を行うと、費用の節約にもつながります。
しかし、日頃から雨風や紫外線を浴びている外壁は、耐用年数を迎えずに劣化することも少なくありません。タイルの剥がれやひび割れなどの劣化が見られたら、早めに補修を行うべきです。もし劣化を放置すれば、雨漏りが発生して下地やコンクリートなどが腐食する恐れがあります。
また、塗料の劣化も見過ごせません。外壁をなぞって指に粉がつく場合は、チョーキングと呼ばれる劣化が起きている可能性があります。「これくらいなら大丈夫」と安易に判断せず、定期的に専門家による点検を行い、必要に応じて補修しましょう。
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ビルの外壁は適切なタイミングで補修しよう
ビルの外壁は、経年劣化で美観が損なわれていきます。劣化の進み具合は外壁の種類によって異なるため、それぞれの耐用年数や劣化のサインを把握することが重要です。劣化を放置すれば雨漏りの原因につながりかねません。美観を守るのはもちろん、建物の資産価値を維持するためにも、適切なタイミングで補修しましょう。
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