外壁コーキングとは?費用や補修方法について解説
外壁コーキングは、建物の外壁を保護し、耐久性を高めるために欠かせません。
適切なコーキング材を使用し、正しい施工を行うことで、雨水の浸入を防ぎ、建物の劣化を抑えられます。
この記事では、外壁コーキングの基本から補修方法、費用、DIYの可否について詳しく解説します。
建物を長期的に維持するための知識を深めていきましょう。
外壁のコーキングとは
外壁コーキングとは、建物の外壁材の継ぎ目や隙間を塞ぐために使用される防水材料です。
具体的には、サイディングパネルやタイルなど、さまざまな外壁材間のすき間を埋めることで、雨水の浸入を防ぎます。
使用されるコーキング材は主にシリコンやポリウレタンなどの弾性を持つ素材で、外壁の防水性や耐久性が大幅に向上します。
建物を長持ちさせるためにも、コーキングの適切な施工と定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
外壁コーキングは何のためにするのか
外壁コーキングの主な目的は、建物を保護し、耐久性を向上させることです。
コーキングは、外壁材の継ぎ目や隙間を埋めることで、水の浸入を防ぎます。
また、外壁材同士の隙間を埋めることで、外壁の損傷を抑える役割も果たしています。
建物の寿命を延ばし、修繕コストの節約にもなるので、コーキングの役割は理解しておきましょう。
ここでは、具体的な目的について詳しく解説します。
水の侵入を防ぐ
外壁コーキングの主要な機能の1つは、建物内への水の浸入を防ぐことです。
外壁材間や窓枠の接合部に発生する隙間からは、容易に雨水が浸透してしまう可能性があります。
これを防ぐため、コーキング材を適切に施工しなければなりません。
その結果、内部への水漏れを防ぎ、建物の構造体を長期にわたり保護することが可能です。
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外壁の負担を減らす
外壁コーキングが果たすもう1つの重要な役割は、外壁材への負担の軽減です。
建物の外壁は、日々の気候変動や地震などの自然条件にさらされています。
これらの要因により、外壁材は伸縮や振動を経験し、徐々に摩耗や損傷が生じていきます。
柔軟なコーキング材を使用することで、これらの外壁材間の衝撃を緩和し、ひび割れや剥離を防ぐことが可能です。
結果として、外壁の寿命を延ばし、修繕の必要性を低減させられます。
関連記事:20年を超えたら寿命?塗料ごとに外壁塗装の耐用年数を紹介
コーキングとシーリングの違い
コーキングとシーリングは、用途と施工目的によって呼び方が異なりますが、同じ目的で使用されることが多いです。
コーキングは主に「詰め物をする」という行為を指し、シーリングは「密閉する」という目的に重点を置いています。
具体的には、コーキングは隙間や穴を充填して物理的に空間を埋めるのに対し、シーリングは防水や気密性を向上させるために使用されます。
どちらも建物の耐久性を保つために重要な役割を果たし、外壁の補修やメンテナンスにおいて欠かせません。
業界ではこれらの用語がしばしば入れ替えられて使われるため、具体的な商品選びや施工時には、機能や目的を明確にすることが重要です。
外壁コーキングの耐用年数
外壁コーキングの寿命は、一般的に5〜10年とされていますが、これは使用される材料や建物の立地条件によって異なります。
主に、紫外線の強度や風雨、温度変化などの気象条件がコーキング材の劣化速度に大きく影響します。
日照が強い地域や寒暖差が激しい地域では、コーキング材が早く劣化しやすい点も注意が必要です。
そのため、耐用年数内であっても、定期的な点検と必要に応じたメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
早期の補修や再施工は、建物を長持ちさせるために不可欠であり、最終的にはコスト削減にもつながります。
コーキングを補修したほうが良い例
外壁コーキングの劣化は、建物の防水性や耐久性に大きな影響を与えるため、早めの補修が必要です。
以下に挙げる具体的な劣化症状が見られた場合は、迅速な対応を検討してください。
ひび割れ
外壁のコーキングにおけるひび割れは、材料の老化が原因でしばしば発生します。
紫外線や気温の変化がコーキング材の可塑剤を蒸発させることで、元々柔軟だったコーキング材が硬化し、その結果としてひびが入ります。
この状態を放置すると、ひびは徐々に広がり、最終的にはコーキング層が完全に割れてしまうので放置はおすすめできません。
ひび割れが見つかった場合は、建物を守るためにも速やかに補修作業を行いましょう。
肉やせ
コーキングの肉やせは、コーキング材が時間の経過とともに薄くなり、機能を果たさなくなる現象を指します。
この症状は、コーキング材の中の可塑剤が失われることで引き起こされる症状です。
肉やせが進行すると、外壁材との間に隙間が生じ、雨水などが浸入しやすくなってしまいます。
適切な時期に補修を行わないと、建物内部への水の浸入が原因で構造的なダメージを受けてしまうので、速やかに対応しましょう。
剥がれ
コーキングの剥がれは、接着不良や材料の劣化により発生します。
剥がれが発生すると、コーキングの防水性が損なわれ、外壁を保護するバリアが機能しません。
とくに、剥がれが生じた場合、隙間から水や湿気が浸入しやすくなり、その結果、建物の内部構造に深刻な損傷を与える可能性があります。
剥がれを発見したら、早急に専門家による診断と適切な補修を依頼しましょう。
補修方法は主に2種類
外壁コーキングの補修には「打ち替え」と「増し打ち」という2つの主要な方法があります。
どちらの方法もそれぞれに適した状況とメリットがあり、補修の目的や建物の状態に応じて適切な選択が求められます。
打ち替えは、古いコーキング材を完全に取り除き、新しい材料で再度施工する方法です。
この方法は、コーキング全体の耐久性を回復させるために最も効果的です。
打ち替えを行うことで、隙間が完全に塞がり、長期間にわたり優れた防水性と柔軟性を確保できます。
ただし、工事には時間とコストがかかるため、事前に計画を立てておく必要があります。
増し打ちとは、既存のコーキング材の上から新しい材料を重ねて施工する方法です。
この方法は時間とコストを節約できるため、予算や時間に制約がある場合に適しています。
しかし、増し打ちでは、下層の既存のコーキング材が既に劣化している場合、新しい材料が適切に機能しないこともあるので注意しましょう。
結局のところ、打ち替えはより長期的な解決策として推奨され、増し打ちは一時的な対応策または緊急時の応急処置として考えられるべきです。
建物の状態や将来のメンテナンス計画を考慮して、最も効果的な補修方法を選ぶようにしてください。
外壁コーキング補修の費用
外壁コーキングの補修には、建物の劣化状態や施工方法により費用が異なります。
一般的に、既存のコーキングを撤去して新たに施工する「打ち替え」と、既存のコーキングの上から重ねて施工する「増し打ち」の2つの方法があります。
それぞれの方法に応じて、適切な費用と作業が必要です。
費用を抑えつつ、長期間の耐久性を確保するためには、状況に応じた選択が求められます。
関連記事:マンションの大規模修繕工事とは?業者の種類や選定方法を紹介
補修方法は2種類
外壁コーキングの補修方法は、「打ち替え」と「増し打ち」の2つです。
どちらの方法を選ぶかは、建物の状況や予算に応じて変わりますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
適切な方法を選ぶことで、外壁の耐久性を高めることが可能です。
打ち替え
打ち替えは、外壁のコーキング補修で最も根本的な方法です。
これには、古くなったコーキング材を全て撤去し、新しい材料を充填する工程が含まれます。
打ち替えには、コーキング代として約900〜1,200円/m、さらに既存コーキングの撤去代として約10,000〜30,000円がかかります。
全体の費用は、一般的な住宅で約330,000〜450,000円程度になることが多いです。
この方法はコストは高めですが、新しいコーキング材の完全な接着を保証し、建物を長期にわたって保護します。
増し打ち
増し打ち方法では、既存のコーキング材の上に新たな材料を追加します。
この方法の主なメリットはコスト効率です。
工事費用は約500〜900円/mで、足場代が加算された場合の全体の費用は約240,000〜370,000円です。
増し打ちの補修は早く完了するため、急いで補修が必要な場合に適していますが、既存のコーキング材が大きく劣化している場合には不適切な場合があるので注意しましょう。
おすすめは打ち替え
建物の外壁コーキングの長期的な保護と維持には「打ち替え」がおすすめです。
この方法では、劣化したコーキング材を完全に取り除き、新しい材料で置き換えることにより、建物の外壁に高い密封性と耐久性を提供します。
初期投資は増し打ちより高いものの、長期的にはメンテナンスの回数が少なくなり、結果的にコストパフォーマンスも高いです。
高い耐候性や耐久性が求められる場合には、この方法が最も確実です。
足場の必要性について
外壁のコーキング作業では、高所での作業が伴う場合、作業の安全性を確保するために足場の設置が欠かせません。
たとえ初期投資が高くなるとしても、作業員の安全は最優先事項です。
足場は、作業効率を向上させるだけでなく、丁寧な作業を可能にするためにも重要です。
業者がはしごやロープを使用する無足場での作業を提案することもありますが、これは限定的な状況でのみ選ばれるべきでしょう。
必要に応じて足場を設置して作業を行うことが、安全かつ効率的な補修作業を実施する上での基本です。
DIYは可能なのか
外壁コーキングの補修をDIYで行うことは可能ですが、慎重な判断が必要です。
DIYでの補修は費用を抑える一方で、適切な技術と知識が求められます。
高所での作業では安全性が懸念されるため、事故防止のためには十分に注意しなければなりません。
また、専門的な技術がない場合、不適切な施工が原因で防水効果が十分に発揮されず、結果的に建物のダメージを招く可能性があることも理解しておきましょう。
そのため、DIYでの補修はあくまで応急処置として考えるべきです。
必要なもの
DIYで外壁コーキングの補修を行う際には、適切な道具と材料の準備が不可欠です。
まず、コーキング剤を選び、それに合ったコーキングガンを選びましょう。
コーキング剤は通常、約600〜2,000円の範囲で購入可能で、1本で約3メートルの補修が可能です。
その他には、古いコーキング材を取り除くためのコーキングカッターや、表面の清掃に使用するハケ、コーキング剤の均一な塗布を助けるヘラが必要です。
さらに、下地を整えてコーキング剤の密着を向上させるプライマーと、作業中に周囲の表面を保護するためのマスキングテープも準備する必要があります。
これらの材料と道具を揃えることで、約7,000〜9,000円の費用で基本的な補修作業を行えます。
手順
外壁コーキングのDIY補修を効果的に行うためには、以下の手順を丁寧に実行してください。
- 既存コーキングの除去:コーキングカッターを使用して、古いコーキング材を外壁から剥がしましょう。切り込みを入れた後、コーキングが完全に取り除かれるよう注意深く作業してください。
- 表面の清掃:コーキングを施す表面をハケやブラシできれいに掃除し、ホコリやゴミを除去しましょう。清掃はコーキングの密着性を高めるために重要な工程です。
- 養生テープの使用:コーキング作業範囲の外壁に養生テープを貼り、コーキング材が不要な部分に付着するのを防ぎます。
- プライマーの塗布:適切なプライマーを塗布して下地を整えましょう。これにより、新しいコーキング材の密着性が向上します。
- コーキング材の充填:コーキングガンを使用して、新しいコーキング材を均一に充填してください。均等に分布させることがキレイな仕上がりにつながります。
- ヘラで仕上げ:充填後、ヘラを使用してコーキング材を平滑にならします。この工程は見た目の美しさだけでなく、防水性を確保するためにも重要です。
- マスキングテープの剥がし:コーキング材が乾く前にマスキングテープを剥がし、きれいなエッジを作りましょう。
- 乾燥:コーキング材が完全に固まるまで待ちます。乾燥時間は製品によって異なるため、パッケージの指示に従ってください。
この手順に従えば、外壁コーキングのDIY補修は安全かつ効果的に行うことが可能です。
しかし、大規模な補修や技術的な困難が伴う場合は、専門業者に依頼することを検討してください。
コーキング材の種類
コーキング材の種類を選ぶ際には、それぞれの特性と用途に応じて適切なものを選んでください。
コーキング材には1液型と2液型があり、使用する目的や作業性に応じて選ばれます。
また、素材別にもさまざまな種類があり、それぞれの耐用年数や性能に違いがあります。
ここでは代表的なコーキング材の種類とその特性について詳しく見ていきましょう。
1液型と2液型
シーリング材、とくにコーキング材には、1液型と2液型の2つのタイプが存在します。
1液型は使用が簡単で、一般のホームセンターでも手に入ります。
初心者にも扱いやすく、個人でのDIYに適しているため、広く普及しているのが1液型です。
一方、2液型は施工時に「主剤」と「硬化剤」を混ぜる必要があり、この作業が経験を要するため、専門的な知識がなければ扱いが難しいとされています。
しかし、2液型の方が1液型に比べて耐久性に優れ、長期間にわたって効果を保持するため、プロ用途や大規模な建築物にはこちらが選ばれることが多いです。
選ぶシーリング材によって、メンテナンスの頻度や期間が大きく変わってくることを理解しておきましょう。
アクリル系
アクリル系コーキング材は、低価格と作業性の良さから多くの場所で採用されています。
とくに、湿気が多い環境での使用に適しており、水分を含む場所での効果が期待できます。
また、アクリル系は塗装作業が可能なため、外壁の美観を損なわずに施工できる点も魅力の1つです。
しかし、このタイプのコーキング材は、耐久性に欠け、とくに外壁のような外部環境にさらされる部分に使用する場合、10年以内にひび割れや縮小といった問題が生じやすいです。
このため、長期的な保護を求める場合には他の材質を選ぶようにしましょう。
アクリル系の使用は、コストを抑えたい短期的な修繕には向いていますが、耐候性や長期的な耐久性を重視する場合には適していません。
ウレタン系
ウレタン系コーキングは、高い弾力性と耐久力で、とくに建物のひび割れ補修に適しています。
この材質は、建物の動きに対して柔軟に対応できるため、地震や気温変化による構造体の伸縮に効果的です。
さらに、高い密着性を持つため、コンクリートやサイディングといった多様な材料にしっかりと固定できます。
しかし、ウレタン系の最大の欠点は紫外線に対する耐性が低いことです。
そのため、屋外で使用する際には、コーキングの上から塗装を施して保護する必要があります。
シリコン系
シリコン系コーキング材は、耐水性、耐熱性、そして耐候性に優れているため、外壁の窓周りや水回りなど、厳しい環境条件下での使用に適しているコーキング材です。
この材料は性質から、浴槽やシンクの周囲など、水が頻繁にかかる場所に推奨されます。
また、シリコン系は価格が比較的手頃でありながら、固まった後も一定の弾力性を保つことができるため、多くの現場で好んで使用されやすいです。
ただし、大きな欠点として、コーキングの上から直接塗装ができない点が挙げられます。
これは、シリコンが塗料をはじく性質を持っているためです。
しかし、近年ではこの問題を解決するためのプライマーが開発され、適切な処理を施すことで上塗りが可能になりました。
この進化により、シリコン系コーキングの用途がさらに広がっています。
変性シリコン系
変性シリコン系コーキング材は、従来のシリコン系と比較して、用途と機能性において大きな進歩を遂げています。
このタイプのコーキングは、とくに外壁での使用に適しており、塗装が可能なため、見た目の美しさを損なうことなく使用可能です。
さらに、変性シリコンは柔軟性と耐久性を兼ね備えているため、建物の動きや温度変化による影響を受けにくく、長期間にわたり効果を維持します。
しかし、変性シリコン系コーキング材の使用の際には、紫外線への耐性が若干低いため、塗装を施すことでこの欠点を補う必要がある点に注意してください。
そのため、適切なプライマーの選択と施工が求められることもありますが、その労力に見合う価値は十分にあります。
変性シリコン系コーキングの導入により、メンテナンスの頻度を減らし、長期的なコスト削減も可能にします。
外壁コーキングは建物にとって欠かせない要素
外壁コーキングは、建物の耐久性や防水性を確保するために欠かせない重要な作業です。
適切なコーキング材を選び、正確な施工と定期的なメンテナンスを行うことで、建物の寿命を延ばし、修繕コストを抑えられます。
定期的な点検と適切な対応を心がけ、建物の価値と安全性を高めましょう。
ビルの外壁コーキング工事を安心して任せたい方は、「カメダ総合塗装」にご相談ください。
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