外壁塗装の劣化はなぜ起こる?原因や種類について解説
所有しているマンションやアパート、戸建などの外壁が劣化してきたら、早めに塗装業者に相談して点検してもらうことをおすすめします。
外壁は、日々、自然環境にさらされているため時間の経過とともに劣化してきます。
劣化の状態は、カビや苔、汚れなど外部的なダメージだけでなく、ひび割れや穴が空いてしまうと建物の内部構造まで影響してきます。
そこで、本記事では、外壁塗装の劣化について、原因や劣化の種類、費用相場などを解説します。外壁塗装業者に依頼するタイミングを知るためにも参考にしてください。
外壁塗装の劣化はなぜ起こるのか
外壁の劣化の原因となるのは、主に以下の3つです。
- 紫外線と熱
- 雨や風
- 鳥のフン
それぞれの原因について紹介していきます。
紫外線や熱
外壁塗装が最も劣化しやすい原因は、紫外線や太陽の熱によるものです。
特に南側の外壁は太陽が当たりやすい場所なので北側の外壁よりもダメージを受けやすくなっています。
壁面の方角によって塗装回数が変わるので、同じ時期でも北面は塗り替えず南面だけ塗り替えが必要になることもあります。
紫外線によって外壁の塗膜がはがれると、壁を保護する機能が衰えるので、ひび割れが起きて外壁の劣化に繋がります。
さらに、ひび割れた部分から雨水が侵入してしまうと、外壁の内部構造にカビが生えやすくなって腐食し、家自体の耐久性を低下させてしまいます。
また、紫外線によって、外壁が色あせて美観を損ねる原因にもなります。色褪せは見た目だけでなく外壁の機能性も低下させるので、劣化の進行度に合わせてメンテナンスが必要となります。
雨や風
外壁は、紫外線や熱による劣化が進行すると徐々に防水機能も低下し、雨水が壁に侵入しやすくなります。
また、雨で湿気が引き起こされ、カビや苔が繁殖する原因にもなります。
また、酸性雨が外壁に当たると、壁の塗料と化学反応を起こして塗膜が破壊されてしまいます。
酸性雨とは、二酸化硫黄や窒素酸化物などが雨・雪・霧などに溶け込んで、通常より強い酸性を示す雨のことです。
酸性雨は、外壁材や塗料の劣化を進行させる作用が働くため、外壁にダメージを受けやすくなります。
外壁は、風圧によっても劣化が進行し、風の当たりやすい外壁は消耗が激しくなります。
特に凹凸のある外壁には、風で飛んできたホコリが壁に付着すると汚れが蓄積しやすくなります。
さらに、強い雨風や台風で、横殴りの雨によって雨漏りが発生するケースもあり、普段の雨では問題のなかった外壁の部分が、ひどく劣化していることに気が付く場合もあります。
特に雨風が当たりやすい外壁や、太陽光の当たらない北側の外壁は、日影で湿っぽくなるため注意が必要です。
鳥のフン
鳥のフンによっても外壁の状態は劣化します。鳥のフンはそのまま放置しておくと硬くなって汚れが落としにくくなります。
そのままにしておいて雨水で自然に落ちるだろうと放置しても、フンが乾燥してしまうと
頑固な汚れとして残ってしまいます。
鳥のフンの汚れは、美観を損ねるだけでなく、フンの中に尿酸が含まれているので、外壁を腐食させる原因にもなります。
さらに、鳥のフンによる病原菌で健康被害のリスクも高くなります。乾いた粒子が室内に入ってきたり、人間が吸い込んでしまったりすると中毒や病気になる危険性があります。
鳥のフンの病原菌に感染すると、オウム病、ヒストプラズマ病、サルモネラ感染症、ニューカッスル病、鳥アレルギーなどにかかる可能性が高くなります。
劣化したまま放置するとどうなるのか
外壁の劣化は、見た目の問題を通り越して家の構造にまで影響を及ぼします。
外壁から家の内部まで劣化が進行してしまった場合は、大変大がかりな修繕をするようになってしまいます。
忙しく生活している中で、家のメンテナンスを後回しにしてしまうケースもありますが、単なる外壁の汚れだけでは済まず、家の寿命も短くしてしまいます。
したがって、外壁の劣化が気になった場合は、早めに塗装をし直すことをおすすめします。
外壁塗装の耐用年数は、およそ10〜20年くらいです。外壁に使用した塗料の種類によっても耐用年数は変わってきます。自宅の外壁に使われている塗料を確認して塗装メンテナンスの計画を立てるようにしましょう。
※外壁塗装、塗装の種類による耐用年数
- ウレタン塗料:6~10年(耐用年数は短め、価格は安くなる)
- シリコン塗料:8~15年(価格が高め、耐用年数が長くなる)
- フッ素塗料:10~20年(価格は高め、耐用年数が長くなる)
- ラジカル塗料:10~16年(シリコンより高くフッ素より安い、耐用年数長くなる)
関連記事:20年を超えたら寿命?塗料ごとに外壁塗装の耐用年数を紹介
外壁塗装の劣化症状を進行度別に解説
外壁塗装のメンテナンスを行う際に、劣化症状について進行別に確認しておきましょう。
どの程度まで劣化が進行したら、塗装業者に頼んだらよいか、経過年数に合わせて依頼するタイミングを検討しましょう。
劣化の進行度 外壁塗装の劣化の種類 経過年数
進行度1~3 塗装の艶落ち・色褪せ 3~10年
進行度4~7 防水機能低下によるカビ・苔・藻の繁殖 5~10年
進行度6~7 チョーキング(白亜化現象) 8~13年
進行度6~8 コーキングの劣化 5~10年
進行度8~9 塗装面のひび割れ(クラック) 10~15年
進行度10 塗膜の剥がれ 15~20年
進行度1~3 塗装の艶落ち・色褪せ
紫外線や雨風によって、外壁の塗料の艶がなくなって色褪せてきます。
塗膜を守っている樹脂が剥がれてくると塗料の色も薄くなっていき、美観が低下します。
また、塗膜が剥がれると防水機能がなくなってしまうので、雨水による劣化も受けやすい状態になります。
色褪せの程度は、塗料の色によっても異なり、褪せにくい色を選ぶことで塗装回数を減らすこともできます。
また、外壁塗装が色褪せているだけの状態であれば、早めに塗り替えてメンテナンスすれば、外壁自体の劣化を防ぎ、費用も安く済みます。
※色褪せしにくい塗料の色
- 淡いグレー系
- アイボリー・クリーム系
- イエロー系
- グリーン系
- モカ・ベージュ系
関連記事:アパートの外壁は何色がよい?色を選ぶ際のポイントを紹介
進行度4~7 防水機能低下によるカビ・苔・藻の繁殖
外壁の塗膜が剥がれて防水機能がなくなってしまうと、雨をはじくことができないので雨水が壁に染み込みやすく、カビや苔が繁殖しやすい状態になります。
また、雨水に混ざった空気中の汚れやチリやホコリが外壁に付着してしまうと、汚れが蓄積してきます。
特にフラット壁ではないサイディング面は、汚れやすい状態になります。
カビは、吸い込むとアレルギーを発症する場合もあり、建物だけでなく人にも危害を与えるため注意が必要です。
カビの除去は、狭い部分だけの場合は自分で対処できる場合もありますが、カビの発生範囲が広く外壁全体に広がっている場合は、専門業者に依頼した方が、仕上がりの完成度が高く、再度、カビが繁殖するリスクが低くなります。
もし、カビや苔の繁殖に気が付いたら、外壁の劣化が進行している可能性もありますので、塗装業者に相談して点検してもらうことをおすすめします。
関連記事:外壁の防水塗装は必要?DIY可否も解説
進行度6~7 チョーキング(白亜化現象)
外壁に白い粉状のものが付着することをチョーキング現象と言います。チョーキング現象は、塗料の合成樹脂が分解されて白い粉が分離して浮き出てくる状態のことです。
外壁を手で触って粉状のものが付いたら、塗膜が剥がれて防水機能が低下しているサインです。ただし、単なる塵やホコリ、花粉との違いを見極めるのが難しいため、判断できない場合は、塗装業者に点検依頼をして確認しましょう。
また、チョーキング現象は、発生する壁とそうでない壁があるので確認が必要です。
チョーキング現象は、そのまま放置しておくと建物の被害に進行してしまうため、外壁をクリーニングして塗装をすることをおすすめします。
※チョーキングが発生する壁の種類
- モルタル
- 金属サイディング
- 窯業系サイディング
- 木質系サイディング
- ALC
- 木材
※チョーキングが発生しない壁の種類
- レンガ
- 樹脂系サイディング
進行度6~7 コーキングの劣化
外壁には壁材の劣化を防ぐために、つなぎ目にコーキング材という液体で隙間を埋めてあります。
コーキングは、紫外線や雨によって徐々に肉痩せやひび、穴があいてきます。
劣化しているコーキングの部分からは、雨水が侵入しやすくカビや苔、腐食の原因になります。
コーキングの寿命は、およそ5〜10年くらいです。コーキングの劣化を放置しておくと、外壁の劣化が進行してしまうため、5年を目安にコーキングの状態をチェックして、打ち直しを行うようにしましょう。
進行度8~9 塗装面のひび割れ(クラック)
外壁にひび割れが出てきたら、経年劣化、振動、乾燥、施工不良などが原因です。
外壁を覆っている塗膜が乾燥した場合や施工時の材料の馴染みが悪かった場合など、また、長期的に自然環境にさらされたことでひび割れが生じる場合があります。
また、大きな地震やトラックが通った後の振動などで外壁はひび割れることがあります。
もし、外壁にひび割れが見つかったら、幅が0.3mm以上になると雨水が入りやすい状態であるため、早めに塗装業者に依頼しましょう。
進行度10 塗膜の剥がれ
塗膜が剥がれたり膨れ上がったりしている場合は、施工不良の可能性があります。目安として塗装から3年以内に剥がれたり膨れている部分があったら、施工がうまくいっていない可能性が高いです。
塗装前の高圧水洗浄が行き届いていないことや、下塗りや乾燥が不足していることなど、塗装作業のミスによって塗膜が剥がれることがあります。
もし、塗装してから早い時期に塗膜の剥がれが生じた場合は、別の塗装業者に相談して
対処してもらうようにしましょう。
※外壁塗装の劣化を早める施工不良の例
- 洗浄あとに乾燥する前に塗装をしてしまった
- 下処理をせずに塗装してしまった
- 下塗りが失敗してしまった
- 下塗り材の選び方が間違っていた
- 塗装の薄め方の分量が良くなかった
- 乾燥時間をしっかり守らなかった
外壁塗装は自分でできるのか
DIYが得意で外壁塗装を自分で行う方もいらっしゃいます。
自分で行う場合は、必要な道具を準備し、適切な塗料を選び、塗装業者と同じ工程で作業を行うことが必要です。
また、高所作業など危険を伴うため安全管理も大切です。
外壁塗装を自分で行うと費用が安くできることと、業者と打合せする時間が不要で、自分の都合の良い時間に作業ができることがメリットです。
一方、自分でするデメリットは、プロのように作業ができないと施工不良で後々問題になるリスクが高いことや、足場を組んで安全に作業ができるように作業環境を整えなくてはならないことなどがあります。
したがって、外壁塗装は、自分でできないことはありませんが、準備と手順、注意点などに不安がある場合は、専門の塗装業者に依頼した方が安心です。
※自分で外壁塗装する場合に準備するもの
- 家庭用高圧洗浄機
- バケツ
- ブラシ
- ローラー
- 刷毛
- 中性洗剤
- 養生シート
- 紙やすり
- コーキング材
- 下塗り用塗料
- 上塗り用塗料
30坪の住宅の外壁塗装を自分で作業する場合、費用はおよそ50〜60万円くらいです。
※外壁塗装の手順
- 洗浄
- 養生
- 下地処理
- 下塗り
- 上塗り(中塗りと上塗り)
補修の最終的な判断はプロに任せる
もし、自分で外壁塗装をした後に、問題があったりうまくいかなかった場合は、塗装業者に相談して最終的に補修を依頼しましょう。
また、外壁の劣化を見つけた場合に、どのように対処したらよいのか、塗装するタイミングがわからない場合には、塗装業者に相談して点検してもらうようにしましょう。
プロに点検してもらうことで、自分では判断できない外壁の劣化状態をチェックしてもらうことができます。
以下は、外壁補修の点検をプロに任せるメリットです。
- 外壁の劣化の状態と原因がわかる
- 外壁の劣化の進行具合がわかる
- 外壁塗装や補修の必要性がわかる
- 外壁塗装や補修を依頼するタイミングがわかる
外壁塗装における補修方法と費用相場
では、外壁塗装を業者に依頼する前に、補修方法と費用相場を確認しておきましょう。
事前に概要を知っておくと、相場より高くなったり不適切な業者に騙されるリスクが軽減できます。
また、部分補修か、外壁補修か予算に合わせて検討することができます。
部分補修
部分補修の場合は、劣化している部分だけを補修するので、劣化が広い範囲に及んでいない場合は、外壁全体を補修しなくて済むので安くできます。
- 外壁のひび割れ補修の費用相場:2,000円~3,000円/m程度
- 外壁の剥がれ補修の費用相場:4,000円~60,000円/m程度
塗り替え
部分補修では改善できない場合は、塗り替えを行います。劣化が外壁全体に及んでいる場合や、補修あとを残さずにきれいに仕上げたい場合は、塗り替えの施工になります。
- 外壁の塗り替えの費用相場:80万~150万円程度
重ね張り・張り替え
部分補修または塗り替えでは、劣化の状態を改善できない場合は、重ね張りや張り替えを行います。重ね張りとは、既存の外壁材の上に、新しい外壁材を重ねて張る方法です。
張り替えは、既存の外壁材を撤去して、新しい外壁材を張り替える方法です。
例えば、外壁の下地や断熱材にまで劣化が進行している場合は、張り替えの作業を行います。
- 外壁の重ね張りの費用相場:150万円~
- 外壁の張り替えの費用相場:200万円~
外壁塗装の劣化を見つけたら早めのメンテナンスをしましょう
外壁塗装の劣化は、美観性の問題だけでなく建物の内部まで進行すると、家の寿命が短くなることも懸念されます。
外壁は、紫外線や雨風によって毎日少しずつ消耗してきているため、色褪せたりカビや苔など見た目にもわかるダメージが現れます。
外壁塗装の耐用年数は10〜20年くらいで、使用している塗料の種類や外壁のある場所によっても劣化の進行が異なります。
もし、外壁に異変を見つけたら、なるべく早めに塗装業者に相談して早めにメンテナンスを行うことをおすすめします。
カメダ総合塗装では、外壁塗装に関するご相談、お見積り、ご依頼についてお伺いしております。ご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。