外壁塗装の高圧洗浄とは?費用相場や作業時間も解説
外壁塗装を行う際、ほとんどの業者が実施している工程のひとつに「高圧洗浄」があります。
「そもそも高圧洗浄ってどのような作業なのか」「どんなメリットがあるのか」「費用はいくらくらいかかるのか」など、初めて外壁塗装を検討される方にとっては疑問も多いでしょう。
高圧洗浄は、外壁表面にこびりついた苔や汚れ、チョーキング現象(粉化)による粉などをしっかり落とし、次の塗装工程をスムーズに進めるために欠かせない作業です。
もし高圧洗浄を怠ってしまうと、塗料の密着が弱くなり、仕上がりや耐久性に大きな影響が出る可能性があります。
本記事では、高圧洗浄の概要から具体的な流れ、費用相場や作業時間、注意点などを網羅的に解説します。
また、作業中に起こりやすいトラブルやよくある疑問への回答、外壁塗装を成功させるためのポイントもあわせてご紹介します。
外壁塗装における高圧洗浄とは?
外壁塗装の高圧洗浄とは、強い水圧を利用して外壁表面の汚れやほこり、コケ・藻、旧塗膜の劣化物などを洗い流す作業のことを指します。
一般的には、高圧洗浄機(高圧洗浄ポンプ)を用いて、外壁に噴射される水の圧力を調節しながら、丁寧にすすぎ洗いをしていきます。
外壁塗装を行う前に高圧洗浄を行う理由は、次の塗装作業をより良い状態で進めるためです。
外壁の表面は、屋外環境にさらされているため、多種多様な汚れが蓄積しています。
泥汚れやホコリ、雨だれ、排気ガスのすす、鳥のフン、苔やカビなどがこびりついたままの状態で新たに塗料を塗っても、塗膜の密着力が弱くなり、早期剥がれや塗装ムラの原因になることが少なくありません。
高圧洗浄を行うことで、以下のようなメリットが得られます。
- 塗料の密着力向上:塗料と外壁の間に汚れが残らないため、仕上がりの美しさと耐久性が高まる。
- カビ・藻の除去:湿気の多い地域や日当たりの悪い場所に発生しやすいカビ・藻を取り除くことで、美観と衛生面においても効果的。
- 仕上がりムラの防止:表面の凹凸や劣化物を落とすことにより、塗料を均一に塗布できる。
このように、高圧洗浄は外壁塗装の工程においてきわめて重要な役割を担っています。
なお、高圧洗浄には水圧を自在にコントロールできるノズルなどが用いられ、外壁材に合わせて圧力を調整するのが基本です。
一律に強い圧力を当てると、外壁が傷む可能性があるため、施工業者の技術力や経験が大切になります。
外壁塗装における高圧洗浄の流れ
高圧洗浄は、外壁塗装の全工程の中でも初期段階に行われる作業です。
ここでは、足場の設置から高圧洗浄作業までの一連の流れを見ていきましょう。
足場の設置
高圧洗浄を含む外壁塗装作業のほとんどは、まず足場の設置から始まります。
足場がないと高い場所での洗浄や塗装が難しく、安全面でもリスクが高くなるため、足場をしっかり組むことが前提です。
足場が組まれると、職人が屋根や外壁を自在に移動できるようになるため、高圧洗浄の際も効率的かつ丁寧に作業ができます。
また、安全確保のためのメッシュシートを足場周りにかけるケースが一般的です。
これは、高圧洗浄の水しぶきや作業中の塗料の飛散が周囲へ飛び散るのを防ぐ目的もあり、近隣トラブルを防ぐ上でも重要な工程となります。
養生
足場が設置された後、洗浄や塗装の対象ではない部分を保護するための「養生」が行われます。
具体的には、玄関ドアや窓、植栽や駐車スペースなど、水や塗料がかかってはいけない部分にビニールシートやマスキングテープなどを貼ってカバーする作業です。
高圧洗浄では強い圧力の水が飛び散るため、きちんと養生を行わないと窓枠や室内に水が侵入し、汚したくない場所を水で濡らしてしまう可能性があります。
また、車やバイクなどを駐車している場合は、事前に別の場所に移動し、しっかりとカバーをかけてもらうなど、施工業者と連携して対策を取るケースもあります。養生が適切に行われているかどうかで、洗浄や塗装後の仕上がりやトラブルのリスクに大きく差が出るため、とても重要な工程と言えます。
洗浄作業
足場と養生が完了したら、いよいよ高圧洗浄作業の開始です。
洗浄機の水圧は住宅の外壁材や汚れの状態に合わせて調整されます。
外壁全体の大まかな洗浄
ホコリや泥、チョーキングした塗膜などをざっと落とすために、一通り外壁全体を洗浄します。
水圧は強めの場合が多いですが、外壁の素材や劣化具合によっては弱めることもあります。
コケ・カビなどの除去
日当たりの悪い北側の壁や、湿気の多い場所に繁殖しやすいコケ・藻、カビを集中的に洗い落とします。
しつこい汚れには薬剤(バイオ洗浄液など)を使うこともあります。
細部の洗浄
サッシ周りや換気扇のフード、軒天とのつなぎ目など、細かい部分もまんべんなく洗浄し、汚れを残さないようにします。
洗浄後は、外壁がしっかりと乾燥するまで時間を置きます。
この乾燥時間をしっかり確保しないと、塗装の密着性が悪くなり、塗膜のふくれ・剥がれの原因になるため、天候や季節によっても変動する作業期間の中で適切に調整されます。
外壁塗装における高圧洗浄の費用相場
外壁塗装における高圧洗浄の費用は、塗装の工事費用とセットで見積もられることがほとんどです。
高圧洗浄だけを単独で依頼するケースは少なく、一般的には「塗装工事一式」の中に「高圧洗浄費用」も含まれている形となります。
ただし、業者によっては高圧洗浄の費用を「外壁の平米数(m²)」に応じて算出している場合もあり、その場合の相場は1m²あたり100〜300円程度というところが多いようです。
例えば、延床面積30坪(約100m²)の戸建て住宅であれば、1万円〜3万円前後が高圧洗浄の目安となります。
なお、高圧洗浄の費用には以下のような要素が影響します。
- 建物の大きさ・形状:外壁面積が大きくなるほど洗浄範囲が広がり、作業時間や水の使用量が増えるため費用が高くなる。
- 汚れの種類・程度:コケやカビが多い、旧塗膜が著しく劣化しているなど、汚れが頑固なほど作業工程が増える場合がある。
- オプションの洗浄方法:バイオ洗浄や薬剤洗浄など特殊な手法を用いると、その分の費用が上乗せされることがある。
また、外壁だけでなく屋根の高圧洗浄も行う場合は、足場を使って屋根に上がって作業をするため、多少費用がプラスになるケースもあります。
屋根は外壁以上に苔や汚れが溜まりやすいため、洗浄が必要な場合は相応の手間と費用を見込むようにしましょう。
「高圧洗浄だけ費用を安く済ませたい」と考えて、極端に相場とかけ離れた安値を提示する業者に依頼すると、洗浄が適当に行われるリスクがあります。
結果として塗装の仕上がりが悪くなり、早期に再工事が必要になるかもしれません。
したがって、複数の業者から見積もりを取り、費用の内訳を比較しながら、適正価格を見極めることが大切です。
外壁塗装における高圧洗浄の作業時間
高圧洗浄の作業時間は、建物の規模や外壁の状態などによって変動します。
一般的な一戸建て(約30坪程度)の場合、外壁と屋根を合わせて洗浄するケースでおおむね1日(半日〜1日半程度)かかるのが目安です。
さらに、洗浄後の乾燥にも1〜2日程度は要すると考えておいたほうが無難です。
季節や天候によって乾燥速度は変わるため、梅雨や台風シーズンなど雨の多い時期には乾燥期間が長くなるか、作業が中断されるケースもあります。
この点は、外壁塗装全体の工期にも影響するため、施工業者としっかり打ち合わせをしてスケジュールを組むようにしましょう。
「洗浄だけなら半日で終わると聞いていたのに、実際は1日以上かかった」といった齟齬がないよう、事前に見積もりや工程表などで説明を受け、気になる点は質問して確認しておくことが大切です。
高圧洗浄時の注意点
高圧洗浄は、外壁塗装の重要な工程である一方、作業中や作業前後に気をつけておきたいポイントもいくつか存在します。
ここでは、特にトラブルや不便を感じやすい点をピックアップして解説します。
窓を開けられなくなる
高圧洗浄作業中は、建物の周囲が大量の水しぶきで覆われます。
そのため、窓を開けっぱなしにしていると、室内に水が侵入し、床や家具が濡れてしまう恐れがあります。
洗浄開始から終了までの時間帯は基本的に窓をしっかり閉め、隙間からの水漏れを防ぐことが必要です。
換気が難しくなる分、作業日程を把握しておき、作業がないタイミングや前後に十分な換気を行うようにしましょう。
洗濯物をベランダに干せなくなる
作業日にはベランダも高圧洗浄の飛沫を浴びやすく、場合によっては一時的に立ち入りできないこともあります。
そのため、高圧洗浄や塗装期間中は洗濯物をベランダに干せないケースが多いです。
作業日程を考慮して、コインランドリーを利用する、部屋干しをするなど、洗濯物の対策を事前に計画しておくとスムーズです。
作業中は音がする
高圧洗浄機はモーター音や水が勢いよく噴射される音がするため、ある程度の騒音が発生します。
周囲の建物との距離が近い場合、近隣に音が響くこともあるため、工事開始前にあいさつやチラシ配布などで周囲に配慮するのが望ましいです。
工事期間中は早朝や深夜に作業するわけではないため、生活上の大きな支障はないと思われますが、音が苦手な方は耳栓などを用意しておくと安心です。
浸水する可能性がある
高圧洗浄は強力な水圧を用いて行うため、サッシや換気扇フードなどのわずかな隙間から、水が入り込むリスクがあります。
適切に養生されていれば問題は軽減されますが、万が一「室内が水浸しになってしまった」「電気機器が濡れて故障した」といったトラブルが発生した場合は、すぐに施工業者へ連絡してください。
こうしたトラブルを防ぐためにも、事前に窓やドア、換気扇まわりの隙間が大きくないかを確認し、必要に応じて業者に補強養生をお願いすることが大切です。
また、屋根や外壁に亀裂や大きな破損がある状態でいきなり高圧洗浄を行うと、そこから水が侵入する可能性が高まるため、事前の下地点検・補修作業が重要になります。
外壁塗装の高圧洗浄のよくある疑問
高圧洗浄は、外壁塗装初心者の方にとってわからないことも多く、不安がつきものです。
ここでは、特に質問の多い4つの疑問について回答していきます。
雨の日でも作業できる?
高圧洗浄は水を使う作業なので、雨の日でも行える場合があります。
しかし、雨が強い日や台風の接近が予想される場合は、安全や作業効率の面から中止・延期となることが多いです。
- 強い雨や風がある場合:視界不良や足場の安全性に影響が出るため、作業ができないケースが多い。
- 弱い雨なら可能なことも:作業自体は可能だが、作業後に外壁の乾燥時間が長くかかり、塗装工程への影響が出る場合がある。
業者は天気予報を常に注視しながら、効率よく作業できる日を選ぶことがほとんどです。
梅雨や台風シーズンに差し掛かる時期は、スケジュールに余裕を持って依頼するようにしましょう。
高圧洗浄でかかった水道代は誰が払う?
一般的な戸建て住宅の外壁塗装における高圧洗浄では、「施主(家の所有者)が準備する水道を使用する」ケースが多いです。
この場合、水道代は施主が負担するのが一般的な取り決めとなっています。
ただし、中には業者が給水車を用意し、近くの水源を利用する場合など例外的なケースもないわけではありません。
契約時の見積書や打ち合わせの段階で、「高圧洗浄時に使用する水道はどこから引くのか」「水道代は誰が払うのか」をしっかり確認しておくと安心です。
また、マンションやアパートなど集合住宅の場合は、管理規約や管理組合のルールに従った対応が求められます。
工事を行う前に、管理組合に相談・許可を得る必要があるかどうかもチェックしておきましょう。
高圧洗浄でも落ちなかった汚れはどうする?
高圧洗浄機で落ちる汚れは多岐にわたりますが、中には長年堆積したサビや油汚れ、シリコンシーラントの古い残りなど、簡単には落ちない頑固な汚れも存在します。
その場合、以下のような手段がとられることがあります。
- ケレン作業(手作業や機械による削り落とし):サンドペーパーや電動工具などで削って落とす。
- 薬剤を使用したバイオ洗浄:カビや苔、アオコのように生物由来の汚れには効果的。
- 部分的な下地補修:汚れがこびりついた部分に経年劣化が進んでいる場合、外壁材や下地を交換・補修することも検討する。
施工業者は、洗浄段階で落ち切らなかった汚れの状況を見極め、最適な補修や追加作業を提案してくれます。
無理に高圧洗浄でこすり落とそうとして外壁材を傷めるよりは、ケースバイケースで適切に対処することが大切です。
高圧洗浄を業者に依頼する場合の注意点は?
高圧洗浄を含む外壁塗装工事を業者に依頼する際には、以下のポイントに注意しましょう。
見積もり内容の確認
「高圧洗浄費用はどのように算出されているのか」「屋根洗浄は含まれているか」など、料金の内訳を把握するようにしてください。
施工実績や口コミのチェック
高圧洗浄を含め、豊富な実績がある会社はノウハウも豊富です。
ネット上の口コミや評判、施主の声などを参考にしつつ、信頼できる業者かを判断しましょう。
技術力と経験の確認
高圧洗浄機の水圧やノズルの使い分け、洗浄範囲の調整など、適切に行われないと外壁を傷めるリスクがあります。
施工前の打ち合わせで、どのような洗浄方法を採用するのか、どれくらいの圧力で行うのかなどを確認しておけると安心です。
近隣への配慮
高圧洗浄作業では騒音や水しぶきが発生するため、近所へのあいさつやスケジュール連絡を忘れずに行いましょう。
トラブル防止のため、工事開始前の一言が重要です。
以上を踏まえたうえで、契約前に十分な打ち合わせや見積もり比較を行うことで、適正価格かつ高品質な高圧洗浄を得ることができるでしょう。
高圧洗浄を正しく理解し、外壁塗装を成功させよう
外壁塗装で高圧洗浄を行うかどうかは、塗装後の仕上がりや耐久性、そして建物全体の寿命にも大きく関わってきます。
強い水圧で外壁に付着した汚れを落とすことで、塗料の密着力を高め、塗膜の剥がれやムラを防止するメリットが得られるからです。
しかし、高圧洗浄自体にも一定の費用や作業時間がかかり、騒音や水しぶき、作業中の窓開閉の制限など、居住者にとって不便が生じる場合があります。
また、水の侵入リスクや隙間の点検不足といった点にも注意が必要です。
高圧洗浄の費用相場は一般的な戸建て住宅で1万円〜3万円程度(外壁面積100m²の場合)といわれますが、これは業者や汚れの状況、屋根の洗浄有無などで変動します。
作業時間の目安としては半日〜1日、雨や季節によってはさらに長くなることもあり、洗浄後の乾燥期間も考慮に入れなければいけません。
また、音や水しぶきの影響で近隣へ配慮が必要となるため、施工業者を選ぶ際には実績や口コミ、近隣対応の丁寧さなどを確認することが大切です。
水道代についても事前に誰が負担するのか打ち合わせをしておくと、後々のトラブルを回避できます。
外壁塗装は、家を長持ちさせるための重要なメンテナンス作業。
その中でも高圧洗浄は、見落としがちですがとても重要な前準備です。
しっかりと下地を整えてから塗装を行うことで、美しい仕上がりと高い耐久性を実現できるでしょう。
外壁塗装における高圧洗浄をお考えでしたら、ぜひ豊富な実績と充実したアフターケアを提供する株式会社カメダ総合塗装にご相談ください。