ビルの外壁塗装工事の費用は助成金で抑えられるのか?
ビルの外壁塗装は、塗装をする範囲や使用する材料によって費用が大きく変わります。
国や自治体の助成金や補助金を利用してお得に外壁塗装をしませんか?
この記事では、工事の費用相場から、自治体の助成金を利用してコストを抑える方法だけでなく、助成金以外で費用を削減するテクニックまで、ビルのオーナーさんが知っておくと便利な情報をご紹介します。
ビルの外壁塗装工事の費用の相場
ビルの外壁塗装にかかる費用は、ビルの大きさ、高さ、塗装する面積、塗料の品質、足場を組む範囲によって大きく異なります。
また、階数に応じても費用は変わります。
足場だけでも150万円程度はかかることがあります。
一般的に、3階建てのビルでは300万円〜400万円、10階建てでは900万円〜1,500万円の費用が見込まれます。
階層が高くなるほど塗装面積が増え、それに伴い足場の設置費用も上昇し、結果として工事費用が高額になる傾向があります。
とくに高層ビルでは、工事価格が1,000万円を超えることも珍しくありません。
ビルの外壁塗装は、一般住宅のそれと比較して特殊な作業が多いため、さまざまな要因により費用が上昇します。
さらに、工事費用が500万円を超える場合は建設業の許可が必要となり、それに伴う事務作業の負担も増加します。
これらの情報を踏まえると、ビルの外壁塗装のコストは、建物のサイズ、使用する塗料の種類、採用する施工方法によって大きく異なることがわかります。
高層ビルの場合はとくに費用が増加傾向にあり、足場の設置など追加のコストも考慮する必要があります。
このため、施工前に正確な見積もりを取得し、しっかりとした計画を立てることが非常に重要です。
関連記事:アパートの外壁塗装にかかる費用とは?工事のタイミングも紹介
ビルの外壁塗装工事の費用を助成金で抑えられる?
多くの自治体ではビルの外壁塗装工事の負担を軽減するために助成金や補助金制度を設けています。
これらの助成金は、主に工事費をカバーできることから、ビルの所有者や管理会社にとって大きな支援となります。
ビルの外壁塗装工事の費用を助成金で抑えるポイントをそれぞれ解説します。
外壁塗装工事で助成金を受け取れる理由
外壁塗装工事における助成金の提供は、環境保護やエネルギー効率向上、地域美観の維持という公共の利益に貢献する目的を持っています。
ヒートアイランド現象の緩和や断熱性の向上など、環境に配慮したリフォームを奨励する政策の一部として、国や自治体が経済的支援を行います。
このような助成金は、持続可能な社会の実現を支援し、同時に建物の所有者の費用負担を軽減する重要な役割を果たします。
関連記事:アパートの外壁塗装に補助金・助成金を使う流れを解説
一般的な助成金の金額
外壁塗装に関する助成金は、一般的なリフォーム工事をカバーする幅広い制度の中で利用可能です。
この助成金の目的は、経済的負担の軽減と地域活性化です。支給条件として、多くの場合、工事を地元の業者に依頼する必要があります。
支給金額は自治体により異なり、外壁塗装費用の5%〜20%、上限は5万円〜20万円までとなっています。
助成金の額は、工事の規模や使用する材料の環境性能に基づいて決定されます。
自治体によっては、工事費用の一定割合を補助する制度が設けられており、これらの助成金を活用することで、工事費用の負担を大幅に軽減できます。
そもそも「助成金」とは?
助成金は、地方自治体や国が特定のプロジェクトや活動を支援するために提供する財政的援助ですが、助成金の条件は自治体によって異なるため、市区町村によっては受け取れない場合もあることを理解しておく必要があります。
助成金を理解する上でのポイントは以下の通りです。
- 助成金を受け取る条件
- 工事前に申請すること
- 同じ業者に依頼していること
- 自治体内に工事対象の建物があること
- 税金を滞納していないこと
それぞれ解説します。
助成金を受け取る条件
外壁塗装に適用される助成金は主に2つのカテゴリーに分類されます。
①省エネを目的とした住宅改修補助金
②一般的な住宅リフォーム資金助成
利用するためには条件を満たし申請後、自治体の審査を通過する必要があります。
支給対象は通常、居住用の住宅に限定されますが、ビルやマンション、アパート、店舗兼用住宅の一部も対象とする自治体が存在します。
申請者は個人だけでなく法人も可能で、子育てや新婚世帯など特定の条件を設ける自治体もあります。
助成金を活用するには、各自治体が定める支給条件を詳細に確認することが重要です。
外壁塗装を行うだけでは不十分で、特定の要件を満たす必要があるため、注意が必要です。
工事前に申請すること
助成金を利用するためには、工事開始前に自治体への申請が必要です。
計画が助成金の対象条件に合致しているかを確認し、意向を事前に通知するためです。
工事を開始してからではなく必ず事前に申請することで、助成金の対象外となるリスクを避けられます。
工事を始めた後や完了後の申請は認められていないため、助成金の申請と工事開始のタイミングは、助成金の規定を業者に説明した上で慎重に決定する必要があります。
同じ業者に依頼していること
助成金を利用する際には、外壁塗装工事を含むすべての作業を一つの業者に依頼することが必要条件です。
この規則は、工事の品質保証と助成金の正しい使用を確保するために設けられています。
複数の業者に仕事を分けると助成金の対象外となる可能性があるので、注意が求められます。
補助金の上限があらかじめ決まっている場合、外壁塗装だけでは上限額に達しない可能性が高いため、同じ業者に内装など他の工事も依頼することをおすすめします。
関連記事:外壁塗装業者を選ぶ際のポイントとは?悪徳業者の特徴も紹介
自治体内に工事対象の建物があること
助成金を受け取るには、工事を行う建物が申請者の居住している自治体内にある必要があります。
この要件は地元経済の活性化と地域社会への貢献を促すために設定されています。
物件が他の自治体にある場合は、助成金を申請する資格がないので、建物の所在地をしっかり確認することが大切です。
また、自己所有の家だけでなく、借家に住んでいる場合でも助成金を受けられる自治体があります。
ただし借家の場合、所有者が親族であるなどの特定の条件があることもあります。
さらに、引越し後すぐのリフォームを検討している場合は、新しい自治体での助成金の条件についても確認すると良いでしょう。
税金を滞納していないこと
助成金の申請条件として、申請者が税金を滞納していないことが必要です。
この規定は、税金を公平に納付している市民に対してのみ経済支援を行うために設けられています。
税金を滞納している場合は助成金を申請できません。
これは全ての助成金に共通し、どの自治体でも同様の取り扱いです。
県民税や市民税、保険料、年金など、納めるべきものは事前に清算しておく必要があります。
助成金が受け取れる外壁塗装工事の内容
外壁塗装工事において助成金を受けることができるのは、その工事が環境保全、エネルギー効率の向上、または地域社会への貢献など、公共の利益に資する特定の条件を満たしている場合です。
ここからは、外壁塗装工事で助成金を受け取るための工事内容と条件を解説します。
工事内容①ヒートアイランド対策
ヒートアイランド現象の緩和に効果的な外壁塗装には、太陽光を反射する遮熱塗料が使用されます。
この塗料は建物周囲の気温上昇を抑制し、都市部の環境負荷を低減させるため、助成金の対象になることが多いです。
遮熱塗料は赤外線を反射して住宅を外部熱から守り、室内温度の上昇を抑えることで省エネにも貢献します。
価格は一般的な塗料より約2割高いですが、ホワイト系の色を選ぶことで、遮熱効果を最大化することができます。
工事内容②エコリフォーム
エコリフォームによる外壁塗装は、エネルギー効率を高め、断熱性を強化する目的で行われます。
環境に配慮した塗料の使用や断熱材の追加を含むこの工事は、建物の環境負荷を減らし、エネルギーコストの長期的な削減に貢献します。
エコリフォームはエコ基準に沿った資材を使用して窓や外壁、天井の断熱改修を行う省エネリフォームを指し、エコジョーズやエコキュートのような高効率給湯器の設置も支援対象です。
このアプローチはヒートアイランド対策と共通する点が多く、省エネ対策全般にわたって助成金の対象となります。
参照:住宅:令和5年度 住宅エコリフォーム推進事業 – 国土交通省
工事内容③一般リフォーム
一般リフォームとしての外壁塗装は、建物の美観を回復し構造体を保護する目的で行われます。
劣化した外壁の塗り替えや防水性能の向上により建物の耐久性が高まり、長期的なメンテナンスコストが削減されます。
このタイプの工事は、地域産業の振興や定住者増加を目的とした助成金の対象になることがあります。
省エネ対策に焦点を当てた塗装工事とは異なり、一般的なリフォーム工事が支援対象となるケースもあり、条件は比較的緩いことが多く、場合によってはリフォーム工事全般が助成されることもあります。
関連記事:外壁の防水塗装は必要?DIY可否も解説
外壁塗装の助成金の申請から受け取るまでの流れ
外壁塗装にかかる助成金の申請から受領までのプロセスは、自治体の制度確認から始まり、工事前の申請提出、工事完了後の報告書提出を経て、最終的に助成金を受け取るまでの手続きには地域ごとの違いがあります。
この一連の流れを理解し、適切に対応することが重要です。
外壁塗装の助成金を申請して受け取るまでの流れは以下の通りです。
- ステップ①自治体が助成金制度を行っているか確認する
- ステップ②着工前に助成金の申請を行う
- ステップ③工事が終わったら報告書を提出する
- ステップ④助成金を受け取る
それぞれ解説します。
ステップ①自治体が助成金制度を行っているか確認する
助成金や補助金を得るためには、自治体が提供する支援プログラムの存在が前提条件です。
各地方自治体が実施する助成金や補助金の詳細は、「地方公共団体の住宅リフォーム支援策検索サイト」で調査可能です。
そのため、計画の初期段階で、希望する自治体が該当する支援措置を実施しているかを確かめることが重要です。
しかし、予算制約や応募数の限界、申請可能な時期などにより、実際に利用できない場合があります。
助成金や補助金の募集が多く新年度の4月に始まる傾向があるため、外壁塗装の計画を進める際には、市町村役場などで情報を早めに集めておくことをおすすめします。
ステップ②着工前に助成金の申請を行う
助成金制度の存在を確認した後は、塗装工事開始前に助成金の申請を行う必要があります。
工事を始める前に申請を完了させなければならないことに注意してください。
工事が終了した後の申請は認められていません。
また、申請時には自治体から要求される申請書や見積書のほか、施工場所の状態や内容を示す写真や図面などの提出が必要になることもあります。
助成金を受けるためには、これらの書類を事前に準備しておくことが大切です。
ステップ③工事が終わったら報告書を提出する
申請書の提出後に工事が始まると工事中に変更が生じた場合は、その変更を自治体に報告する必要があります。
工事完了後は、施工前後の写真を含む「工事完了報告書」と「請求書」を提出することが求められます。
施工会社と連携して、手続きを適切に行いましょう。
工事が計画どおりに実施されたことを示す書類の提出は、助成金の最終承認のためには欠かせません。
ステップ④助成金を受け取る
必要な手続きを完了し、申請が無事承認された場合、大体調査から1〜2ヶ月後に助成金や補助金が振り込まれることが一般的です。
地元で信頼されている優秀な業者は、このような助成制度に詳しく申請時のサポートをしてくれることがあります。
業者選びは、これから長く使う家のことを考えると非常に重要です。
手続きが全て終わり申請が承認されると、助成金が支給されます。
助成金の受け取り方法は自治体により異なり、直接振り込みまたは小切手での支給が通常です。
支給までの期間は申請状況や自治体によっても変動するため、予め確認しておくことが重要です。
関連記事:外壁塗装業者を選ぶ際のポイントとは?悪徳業者の特徴も紹介
関連記事:アパートの外壁塗装に補助金・助成金を使う流れを解説
助成金の申請に必要な書類とは?
助成金や補助金の申請に際しては、提出が必要な特定の書類が存在します。
これらの要件は自治体によって異なります。
具体的な書類のリストは、以下の通りです。
- 自治体指定の申請書 – ホームページからダウンロードまたは窓口で入手
- 建物所有者確認書類 – 建物の登記簿謄本など
- 塗装工事の見積書・契約書 – 工事の詳細と費用が記載された文書
- 平面図・立面図・工事内容がわかる設計図面 – 工事の範囲を示す図面
- 写真(施工前・施工後) – 工事の前後の状態を示す写真
- 領収書 – 工事費用の支払いを証明する書類
- 日射反射率の測定値を証明する書類 – 第三者機関による証明書(地球温暖化やヒートアイランド対策の場合)
- 親子関係を証明できる書類 – 戸籍全部事項証明書など(定住人口を増やす支援事業の場合)
- 市外に居住していたことを証明できる書類 – 戸籍の附表、住民票除票など(定住人口を増やす支援事業の場合
通常、必要な書類は自治体の窓口に直接提出することになります。
さらに工事が終了した後には、提出が必要とされる完了報告書があるケースもあります。
ビルの外壁塗装工事を行う際の注意点
ビルの外壁塗装工事を実施する際は、適切な色選びから自治体の景観条例の遵守、テナントへの事前の情報共有まで、さまざまな注意点があります。
これらの点を怠ると、工事後に予期せぬ問題や追加の費用が発生する可能性があります。
ビルの外壁塗装工事を行う際の主要な注意点を3つに分けて解説します。
注意点①サンプルを見て色を決める
ビルの外壁塗装の際、色選びは極めて重要です。小さなカラーサンプルではなく、実際の塗装例を見て判断することをおすすめします。
屋内で見るサンプルと屋外で塗装された壁では色の印象が大きく異なる場合があります。
実際に塗装された外観を事前に確認することで、後悔するリスクを最小限に抑えることができます。
光の当たり方や周囲の環境との調和を考慮して色を選ぶことが、理想的な外壁の外観を実現する鍵となります。
関連記事:外壁塗装にはどのような種類がある?特徴や選び方も解説
関連記事:アパートの外壁は何色がよい?色を選ぶ際のポイントを紹介
注意点②自治体の景観条例を守る
ビルの外壁塗装を行う際は、所在地の自治体が定める景観条例を遵守することが重要です。
歴史的街並みを保護している地域や閑静な住宅街にある場合、外壁塗装に関する制限が設けられていることがあります。
色や使用する素材に細かな規制がある場合があるため、計画前に必ず確認することが必要です。
条例に違反した場合、罰金や工事のやり直しを招く可能性があるため、事前に条例内容を把握し、許可された範囲内で色や素材を選びましょう。
注意点③各テナントに工事内容やスケジュールを共有しておく
ビルにテナントが入っている場合、外壁塗装工事の内容やスケジュールを事前にテナントに通知することは重要です。
これにより、テナントは必要な準備を行うことができます。工事による騒音や安全性への影響を最小限に抑えるためにも、適切なコミュニケーションが必要です。
工事開始の少なくとも1週間前には情報を共有することで、テナントの運営に支障が出るのを防ぎ、理解と協力を得ることができます。
助成金以外でビルの外壁塗装工事の費用を抑える方法
外壁塗装はビルの保護と美観維持に欠かせませんが、その費用は高額になりがちです。しかし、助成金以外にもコストを削減する方法が存在します。
ビルの外壁塗装工事の費用を節約するための方法を2つに分けて解説します。
方法①塗料や工法のグレードを下げる
ビルの外壁塗装の費用を下げる方法として、安価な塗料や工法を選択することが挙げられます。塗料や工法には価格と品質の幅が広く、コストパフォーマンスを重視する選択が可能です。
しかし、安い塗料を使用する場合、耐久性が低くメンテナンス費用が増える可能性があるため、長期的な視点での検討が必要です。
最新の材料や技術を採用すると初期費用は高くなりますが、経済的に見合う方法を選ぶことにより長い目で見たときの総費用を削減することが可能です。
方法②必要な箇所だけ行う
ビルの外壁塗装費用を削減するには、必要な箇所のみを対象にする方法が有効です。
全体ではなく、とくに劣化が目立つ部分や外観に影響を与える範囲だけの塗り替えに限定すれば、コストを抑えることができます。
ただし、塗り替えた部分とその他の部分との間で色の違いが目立つ可能性があるため、その差を受け入れられるかが重要な判断基準になります。
定期的なメンテナンスを行うことで、小さな損傷を早期に修理し、より大規模な改修の必要性を延期させることが可能です。
関連記事:外壁塗装の劣化はなぜ起こる?原因や種類について解説
賢く節約!外壁塗装計画
ビルの外壁塗装は、高額な費用がかかることが一般的ですが、計画的なアプローチと助成金の活用によって、これらのコストを軽減させることができます。
自治体の助成金制度を活用し、工事費の一部を支援してもらう道があります。
選ぶ塗料や施工法、そして塗り替える範囲を厳選することで、費用をさらに削減することが可能になります。
助成金の適用条件を事前にしっかり確認し、上手に活用することが鍵となります。
外壁塗装を進めるにあたり、地方自治体の景観条例への遵守及びテナントへの工事に関する情報を速く伝えることが重要となります。
これにより工事のトラブルを避け、円滑に進めることができます。
経済的な負担を減らしながらビルの価値を維持するための戦略を選ぶことが、資産オーナーや管理者には最善の選択と言えるでしょう。
費用を抑えてビルの保全を図りたい方は、ビルの外壁塗装の専門的な相談も可能なカメダ塗装へぜひご相談ください。