外壁塗装の悪徳業者に注意!手口や対処法を徹底解説
近年、外壁塗装工事に関する消費者トラブルが増加しています。
国民生活センターの統計によると、2023年度の訪問販売によるリフォーム工事に関する相談件数は11,861件に上ります。
中でも、外壁塗装工事に関する相談はとくに深刻な問題です。
本記事では、悪徳業者の典型的な手口や、トラブルを未然に防ぐための具体的な対策を紹介します。
正しい情報を身につけ、信頼できる業者と契約するための参考にしてください。
悪徳な外壁塗装業者のよくある手口
外壁塗装を依頼する際には、悪徳業者に騙されないよう注意が必要です。
ここでは、悪徳業者が使う典型的な手口を紹介します。
- 突然訪問してきて不安を煽る
- 期間限定や前払い限定での大幅な値引き
- 自社独自の塗料
- 曖昧な見積もりを出してくる
- 契約を急かす
詳しく見ていきましょう。
突然訪問してきて不安を煽る
「外壁がひどく劣化しています」「このままでは雨漏りが発生します」と、外壁の状態を指摘しながら不安を煽る手口が典型的です。
実際には緊急性のない劣化状態であっても、「このまま放置すると大変なことになる」「早急な工事が必要」などと言って、その場での契約を迫るケースが多くあります。
とくに要注意なのは、専門用語を多用して素人を混乱させる手法です。
「アルカリ性の雨水による中性化が進行している」「モルタルの劣化による剥落の危険性が高い」といった難しい言葉を使用し、消費者の不安を増幅させます。
近年では、スマートフォンやタブレットを使用して営業を行うケースも増加傾向にあります。
劣化箇所を拡大して見せたり、サーモグラフィーのような専門機器を用いたりして、より説得力のある営業をされるでしょう。
しかし、これらの画像や数値は適切な判断基準なく使用されることが多く、消費者の不安を煽るための演出に過ぎない場合が大半です。
期間限定や前払い限定での大幅な値引き
「今なら特別価格」「現金前払いなら大幅値引き」といった極端な値引きを提示するケースです。
とくに、50万円以上の大幅な値引きを提案してくる場合は注意しましょう。
「今日中の契約なら」「この地域はモニター価格で」といった言葉で契約を急がせようとするケースが多く見られます。
なお、とくに要注意なのは、現金前払いを条件とする値引きです。
工事完了前の支払いを求められた場合に、業者が工事を放棄したり、粗悪な施工で済ませたりするリスクが高まります。
自社独自の塗料
「25~30年もつオリジナル塗料がある」という謳い文句には注意しましょう。
実際には一般的なシリコン塗料と同等の品質であっても、特殊な塗料として通常の3倍以上の価格を請求される場合があります。
外壁塗料の開発には高度な技術と長年の実績が必要です。
長年の実績を持つメーカーですら、新製品の開発には数年から十年単位の研究期間を要します。
それにもかかわらず、いち施工業者が独自に開発したと称する塗料には、その品質や耐久性を保証する根拠が乏しいでしょう。
標準的な塗料に添加剤を加えただけのものを「特殊塗料」と称し、過剰な価格設定を行うケースもあります。
曖昧な見積もりを出してくる
見積書の内容が「一式」という表記のみで、工程の詳細や数量などが明確に示されていない場合は注意が必要です。
問題となるのが、追加料金の発生です。
「下地補修が必要になった」「予想以上の劣化があった」など、工事開始後に新たな費用を請求されるケースは少なくありません。
また、工期や施工方法についても具体的な記載がないケースが多く見られます。
これにより、工事の遅延や品質の低下といった問題が発生しやすくなるでしょう。
実際に、工期が当初の予定から大幅に遅れたり、必要な工程が省略されたりするケースもあります。
契約を急かす
「今日中の契約なら特別価格」「明日からは通常価格に戻ります」といった言葉で即決を迫ってくる手法は、悪徳業者の代表的な手口です。
深刻なのが、長時間の営業による心理的圧迫です。
契約までの平均営業時間は2時間以上に及び、中には4時間以上の説得をされるケースもあります。
長時間の営業により疲労が蓄積すると、冷静な判断力が低下し、本来なら締結しないような契約を結んでしまう危険性が高まります。
消費者の判断を鈍らせ、慎重な検討を妨げる狙いがあるため、気をつけましょう。
悪徳業者による被害数
悪徳業者に関する被害の件数は年々増加傾向にあります。
国民生活センターが公開している、訪問販売によるリフォーム工事の相談件数は、下記のとおりです。
年度 | 相談件数 |
2021年度 | 9,756 |
2022年度 | 10,099 |
2023年度 | 11,861 |
参考:国民生活センター
また、点検商法による被害も12,510件と、前年の8,165件から大幅に増加しています。
これらは氷山の一角であり、泣き寝入りしているケースを含めると、実際の被害件数はさらに多いでしょう。
なぜ悪徳業者に引っかかってしまうのか
ここでは、悪徳業者に引っかかる理由を解説します。
- 定価が定まっていない
- 外壁塗装の知識がない
詳しく見ていきましょう。
定価が定まっていない
外壁塗装工事の特徴は、明確な定価が存在しないことです。
一般的な戸建住宅の外壁塗装工事では、100万~300万円程度の価格帯が相場とされています。
しかし、あくまでも目安に過ぎません。
そのため、価格の変動幅が大きいことを悪用し、実際の相場よりも大幅に高額な見積もりを提示する業者も多くいます。
見過ごされやすいのが、足場設置費用の過剰請求です。
建物の形状や周辺環境によって必要な足場の規模は変わります。
一般的な2階建て住宅では50万円前後が相場ですが「特殊な足場が必要」として、100万円以上の費用を請求するケースも報告されています。
外壁塗装の知識がない
多くの消費者は、下記のような専門知識を持ち合わせていません。
- 塗料の種類や性能の違い
- 適切な施工方法や必要な工程
- 下地処理の重要性
- 工事の適切な時期や緊急性の判断
この知識の差は、塗料の選定場面で顕著になります。
一般的な外壁塗料には、アクリル系、ウレタン系などさまざまな種類があり、それぞれ特徴や適した使用環境は異なります。
しかし、これらの違いを理解している消費者は少なく、業者の説明をそのまま受け入れてしまいがちです。
また、外壁の劣化状態の判断も難しい問題です。
クラックや剥離など目に見える劣化は判断できても、透水性や付着力の低下など専門的な診断は、専門家でなければ適切な判断が下せません。
さらに、本来は3回塗るところを、2回にした手抜き工事を行っても気づかない可能性があります。
どのような塗料も、仕上げた直後はピカピカの外壁になるのが特徴です。
外壁塗装の結果が出るのは数年後になるため、あとから騙されたと気づいても、連絡がつかなくなる場合があります。
この点を悪用し、実際には緊急性のない補修を急がせる業者も存在します。
被害に合わないために意識しておきたいこと
外壁塗装の悪徳業者から被害を受けないためには、下記の内容を意識しておきましょう。
- 一般の業者は依頼があるまで動かない
- 無料点検などは断る
- 必ず複数社から見積もりを取る
- モニターやキャンペーンというワードが出てきたら断る
- 会社の所在地を確認する
- 即決は絶対にしない
詳しく解説します。
一般の業者は依頼があるまで動かない
信頼できる外壁塗装業者は、基本的に消費者からの依頼があるまで営業活動を行いません。
優良な業者は、顧客からの依頼に基づいて丁寧な現地調査を行い、建物の状態を詳しく確認した上で必要な工事の範囲や適切な工法を提案します。
見積書も詳細な内容を記載し、わかりやすく説明してくれるので安心です。
一方、訪問販売を主体とする業者の多くは、短期的な利益を追求する傾向が強く、アフターフォローも不十分なケースが多いとされています。
無料点検などは断る
「無料点検」を口実とした強引な営業に注意しましょう。
これは単なる営業手法であり、点検を通じて不安を煽り、契約を迫るケースが大多数です。
実際の点検内容も表面的なものが多く、本来必要な詳細診断が行われません。
また、点検後すぐに工事の契約を迫られるケースはとくに注意しましょう。
適切な外壁診断には、下記のような専門的な調査が必要です。
- 打診検査による浮き・剥離の確認
- 含水率の測定
- クラックスケールによるひび割れ測定
- サーモグラフィーによる劣化診断
- pH測定による中性化診断
これらの調査には相応の時間が必要であり、その場での判断は不可能です。
外壁の状態が気になったら、自分から信頼できる業者に依頼しましょう。
必ず複数社から見積もりを取る
外壁塗装工事を検討する際、最低でも3社以上から見積もりを取りましょう。
単に価格を比較するためだけではなく、各社の提案内容や対応の違いを確認する重要な機会となります。
見積書の比較では、下記のような項目が明確に記載されているかを確認してください。
- 工事範囲
- 施工面積
- 使用する塗料の製品名とメーカー
- 施工工程と作業内容
- 足場設置費用
- 諸経費の内訳
- 保証内容など
また、各社の現地調査時の対応も重要な判断材料です。
丁寧な説明を行い、消費者の質問に的確に答える業者は、工事においても誠実な対応が期待できます。
反対に、調査が雑だったり、質問への回答が曖昧だったりする業者は、工事の品質も懸念されます。
モニターやキャンペーンというワードが出てきたら断る
「モニター価格」「期間限定キャンペーン」などの言葉は、消費者の判断を急がせるための営業手法です。
実際には一般的な価格よりも高額になるケースや、工事品質が劣るケースが報告されています。
また、モニター契約では、工事後の写真撮影や取材を条件に値引きを提案されます。
しかし、実際にその写真や体験談が広告として使用されることは稀です。
仮に使用されたとしても、実際の値引き額に見合う価値があるとは限りません。
会社の所在地を確認する
実際の事務所の存在や法人登記の確認、建設業許可の有無の確認は、業者選びの基本です。
仮設事務所や携帯電話のみの連絡先しかない業者には、注意が必要です。
なお、建設業許可は、国土交通省の建設業者検索システムで簡単に確認できます。
許可番号が不明確な場合や、確認できない場合は、無許可での営業の可能性があります。
また、過去の施工実績やアフターフォロー体制の確認も大切です。
実績写真を見せてもらったり、可能であれば過去の施工現場を実際に見学させてもらったりすれば、工事の品質を判断できます。
即決は絶対にしない
その場での契約は絶対に避けましょう。
どのような魅力的な条件を提示されても、必ず家族や知人に相談する時間を取り、慎重な判断が大切です。
とくに高齢者の場合、契約についての相談相手がいないと悪用されるケースが多く報告されています。
そのため、日頃から近隣や親族との連絡体制を整えておくとよいでしょう。
不安を感じた場合は、すぐに消費生活センターに相談するのも、有効な対策です。
もし契約してしまったら
ここでは、契約してしまった際の対処法を紹介します。
- クーリングオフ
- 消費者ホットライン
それぞれ見ていきましょう。
クーリングオフ
訪問販売での契約は、特定商取引法に基づくクーリングオフ制度を利用できます。
契約書面を受け取った日から8日以内であれば、理由を問わず無条件で契約を解除可能です。
万が一、業者から「工事に着手したので解約できない」などと言われても、法律上の権利として解約できます。
クーリングオフ制度の対象となるのは、主に下記のような契約です。
- 訪問販売による契約
- 電話勧誘による契約
- キャッチセールスによる契約
- アポイントメントセールスによる契約
ただし、店舗での契約や、お客様が自ら依頼して訪問を要請した場合は、原則クーリングオフの対象外となります。
クーリングオフの手続きは、必ず書面で行う必要があります。
葉書などに契約の解除を通知する旨を記載し、簡易書留などの記録が残る方法で送付しましょう。
書面には、下記の内容を明記してください。
- 契約年月日
- 契約した工事内容
- 契約を解除する旨の意思表示
- 契約者の氏名・住所
- 契約金額
- 業者名・所在地
なお、契約書面のコピーと、郵便局で受け取る簡易書留の受領証は必ず保管してください。
後日のトラブル防止に重要な証拠となります。
消費者ホットライン
不安な点がある場合は、消費者ホットライン(電話番号:188)に相談しましょう。
電話番号は「いやや(嫌や)」に通じる覚えやすい番号となっています。
平日だけでなく、土日祝日も対応しており、相談は無料です。
専門の相談員が対応し、問題解決に向けた適切なアドバイスを提供してくれます。
相談内容に応じて、下記のようなサポートを受けられるのが特徴です。
- 契約に関する法律相談
- 解約・返金に関する助言
- 業者との交渉方法の指導
- 必要に応じて弁護士の紹介
- 被害防止のための情報提供
また、各地域の消費生活センターでも、外壁塗装工事に関する相談を受け付けています。
契約トラブルだけでなく、工事の品質面での不安や、アフターフォローに関する相談にも対応してくれるのが魅力です。
消費生活センターでは、必要に応じて業者との交渉を支援してくれる場合もあります。
また、同様の被害を防ぐため、寄せられた情報は行政機関での監視や指導にも活用されます。
高齢者の場合は、ひとりで判断せず、必ず家族や消費生活センターに相談しましょう。
早期の相談が、被害の拡大を防ぎます。
まとめ
外壁塗装工事のトラブルを防ぐためには、業者選定の段階から慎重な対応が必要です。
突然の訪問販売は断り、必ず複数社から見積もりを取りましょう。
また、その場での契約は避け、十分な検討時間を確保するのが適切です。
不安を感じた場合は、ひとりで抱え込まず、すぐに専門機関に相談してください。
株式会社カメダ総合塗装では、明確な見積もりと丁寧な説明を心がけています。
経験豊富な専門スタッフが、お客様のご要望や建物の状態に合わせて、最適なプランを提案します。
また、施工後のアフターフォローも万全の体制で対応。
安心・安全な外壁塗装工事をお考えの方は、気軽にご相談ください。